(by paco)今週は、ロシアとほかの地域について書いてみます。
ロシアは中国と並んで、ユーラシア大陸の「陸の国家」です。これに対して、イギリスや現在のアメリカは、海軍力で世界の支配権を握ろうとする「海の国家」で、このふたつの軸が現代史を読み解くときの基本的な視点になります。
ロシアはヨーロッパ文化に属する国で、ヨーロッパ大陸の東の端というポジションを確保してきました。これに対して西のはじに当たるイギリスは、中央にフランスとドイツという欧州の大国を挟んで、牽制し合う関係にあり、現代史の主役としてのイギリスの行動は、欧州の東端にあるロシアとの関係で読み解く必要があります。
イギリスは、18世紀に産業革命を成し遂げて、アジアに進出し、インドと中国を植民地化することで、海側からユーラシア大陸の覇権を確保しました。これに対して、遅れて近代化したロシアは、ユーラシアの北側を東に進出して、シベリアを確保し、北側から南下を図りました。北から南への「出口」として狙ったのが、インドの西のアフガニスタン、中国北部の満州です。世界地図を見るとわかるのですが、ユーラシア大陸の海側には、東から、中国、インド、と続いて、その西側にはイランを含めてオスマン朝トルコがイスラム世界に君臨していました。ロシアの南下政策は、この3つの大国のすきまを狙ったものです。インド洋や太平洋への出口の確保を狙ったことから、「不凍港」を求める政策という解釈もされています。ロシアはユーラシア北辺の国で、冬はほとんどの港が凍結し、動けなくなるので、出口を探していたのですね。