2011年6月アーカイブ

(by paco)原発事故や放射能汚染について、個人的に問題意識を持っている人は多くなっているが、会社や仕事上の付き合いのある人に、自分の考えを説明できる人、している人は少ないようだ。

立場は原発否定、肯定、どちらであってもいいとしても、このタイミングで原発問題や放射能問題について口をつぐんでいるというのも、大人らしい態度とはいえない。

そういえば、香山リカが「解離」という精神医学の用語で、現状を説明している。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110621/275006/
受け入れがたい厳しい現実を前にしていると、厳しい現実を切り離そうとする心理が働き、原発事故を無かったことにして、仕事やギャンブルなどに没頭することで、精神の平衡を保とうとする、とのこと。虐待を受けた子供にも見られる。

確かに厳しい現実ではあるが、だからといって解離を起こして事実に向き合おうとしないなら、やはり責任ある態度とはいえない。

【iwato】に来てくれているような、関心の高い人たちであっても、自分の会社の中で、個人的な話としてであっても、原発や放射能の話ができるかというと、これ自体ハードルがかなり高いらしい。

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(by paco)原発事故以来、【iwato】で議論を続けてきたのだが、前から「やる」といって来たとおり、クローズドな【iwato】から、オープンなサイトを作り始めています。

今後の活動の全体像について、書きたいと思います。


■「エネこみ.com」で、「知る」「アクションする」

脱原発、エナジーシフトについてクローズドなコミュニティ【iwato】で議論をしてきました。その中から見えてきたものは、「正しく知る」と「ねらいを定めてアクションをとる」を、ワンセットでできる機能が欲しい、ということ。

脱原発・エナジーシフトを、そもそも「非現実的」と考える人を除いて、このタイミングでは「できれば、脱原発・エナジーシフト」を通じて、放射能の心配が無い、持続可能な生活に変えたいと思う人が多くなっています。

とはいえ、

「ほんとに脱原発ってできるの?」
「電気を使えないものも困るし」
「そもそも、放射能ってやっぱり危険なの?」
「放射能が危険でないなら、事故も怖くない?」
「原発事故って、もう<すんだこと>なの?」
「自然エネルギーを使うと、電気料金が上がるの?」

(by paco)先週、民主的な合意形成について書いた。

僕自身が書いたわけで、書いたことは正しいと思っている。しかし同時に、今行われているさまざまな議論を見ると、合意形成プロセスなど、軌道に乗るわけがない、という疑問も浮かんでくる。

なんとかできるはずだという確信と、実際にはきれいごとだろうという思いの両面で、往復運動している感じが、自分の中にある。そして、ここに確信が持ちきれないことによって、【iwato】の活動をこれからどうやって表に出していくか、自分の中に落ちない状況が続いている。

【iwato】の公開版の活動を、「エネこみ」という名前でやろうというのは決めているし、構想はすでに公開済みで、それ自体は揺らいでいない。しかし、それを通じて、誰が動くのか、そこに確信が持てない。

そんなことはやってみなければわからないじゃないかと、考える人もいるだろうけれど、僕はそうは考えない。これまでいろいろなことをやってきたけれど、どんな人が、どんなふうに動きそうか、それを自分が求めているのかについては、自分なりの確信がない限りやらなかった。やった結果、予想通りいくかいかないか、もちろん、やってみないとわからない。でも自分なりの見込みに確信が持てないでやったことはほとんど無い。

(by paco)社会的意思決定の話をしたい。

■現状の解釈は分裂し、和解は進まない。

原発事故以来、ずっと民主的な意思決定について考えている。

福島原発事故は、日本の意思決定システムが機能不全に陥っている結果として起きた。

(1)【技術】安全性を判断するための技術者の意思決定が、技術、科学の立場での議論が不十分なまま、あるいは強引に安全である可能ような数字を作ることによって、行われた。浜岡原発設計時の耐震強度「偽装」が好例。

(2)【立地】原発の立地自体が、民主的でない方法で行われた。地元の同意を得るために、多額の税金が支払われ、カネのためなら受け入れる人たちと、カネのためであっても受け入れないと考える人たちの間で、地域に深い溝をつくり、民主的合意形成に対する信頼が失われた状態で、原発がつくられてきた。

(3)【安全議論】原発がつくられて以降も、安全性を疑問視するさまざまな議論が示されたが、それを合理性のある議論を通じて判断する機会が無く、実質的に無視され続けた。

(4)【意思決定システム】経産省、資源エネルギー庁、電力会社、国会がすべて談合状態で、原発推進を前提にすべての意思決定を行ってきた。意思決定を行う合議機関に多様なステークホルダーが関わるしくみがなく、批判が封じられた。すでに崩壊している「核燃料サイクル」が今も放棄されずに、無駄金が投入されているのは、その最たる例。