(by paco)原発関係の記事を続けてきたが、「厳選」シリーズが一段落したので、別の話題について書きたい。
去年の後半から、webサイトの再構築をした。
ネットで情報発信をはじめて、すでに20年以上たつのだが(パソコン通信「nifty-Serve」時代から)、久々の大規模なリニュアルだ。
今回のリニュアル以前は、なるべく情報を一元的に集めようとしていた。いろいろな場面でいろいろな情報発信をしているのだが、それをひとつの場所で一覧できるようにしたいと考えていた。
そこで、自分のメインのサイト「suizockanbunko.com」にシステムを作り、知恵市場など他のサイトに書いた記事のタイトルが集まるようにした。
知恵市場、「ヤマガラの森」、日経BPなどでの連載、まるやまうぇぶなど。各サイトに書いた記事をテーマ(ブログのカテゴリ)を使って、新たに5つのカテゴリに分けて、記事のタイトルがひたすら並んでいくようにした。
この方法で確かに、僕の活動の全体を一覧できるようにするという目的は果たせたのだが、次第に窮屈になってきた。
ひとつは、記事一覧をつくるのに完全に自動化はできなかった点。この知恵市場有料版や、日経BPなどの自分のサイト以外での記事は、手作業で登録しなければならなかった。新しいサイトを作ると、その記事のタイトルを収集することもできなかった。写真のサイト「rside.me」を作ったが、ここにアップした記事はsuizockanbunko.comに入れるとしたら、手作業で入れるしかなかった。システムを新たに開発すれば可能だったが、コスト的に断念した。アウトプットしたいことが次第に変化するために、そのためにシステムを開発するのは無理がある。さらに<おとなの社会科>を本格化させた結果、otosha.comサイトの情報がsuizockanbunko.comに反映できない状況になった。
加えて、twitterとfacebookの登場が決定的なものにした。twitterもfacebookも、リアルタイムの自分を発信するのには向いているが、アーカイブ(書庫)として過去の活動も含めて蓄積するのには向かない。また長文の長い情報を蓄積するのも無理だし、検索機能が弱いので、一度埋もれてしまうと、掘り起こせなかった。
facebookやtwitterなどSNSは確かにつながりをつくるのには強力だったが、かといってアーカイブとしてのwebサイトを手放すわけにはいかない。これは今も同じだ。
去年2011年は、震災以後、twitterとfacebookがもたらすパワーが必要になった反面、webサイトやブログにアーカイブして、SNSとどう連携させていくかという課題が浮上した。これは、今も多くの人が迷っていると思う。
さらに、情報発信の幅が一段と広がった。
発信の内容が短く、細切れになる傾向が出てきたこともあり、ひとつのpacoというコンセプトのもとに見せることも難しくなった。また、たとえば仕事で知り合った人に、仕事以外の情報に埋もれたサイトに案内すること自体、無理が出てきた。仕事以外の情報にもアクセスしてほしいものの、仕事の情報を期待してきた人には、それだけの情報をすっと閲覧できるようにした方がよい。仕事の相手にも、環境や写真の情報も出会ってもらいたいという意図はあったものの、混乱のほうが多くなってきたのだ。
いちどはうまくいったサイト構成だったが、2011年後半になるとどうにも矛盾が多くなり、再構成が迫れた。
そこで、順次、サイトの更新を行った。
まず、基本方針として、さまざまな活動や情報について、すべて別々のドメインで別サイトをつくることにした。これまでのように、無理に1箇所に集めようとせず、また、ひとつのサイトである程度まとまったことをしようとせず、サイトを単機能に分けて、それぞれにドメインを取った。独自ドメインが非常に安くなり、年間1000円、2000円で契約できるようになったことが背景にある。
さらに、webサイトのホスティングも、決定的に安くなった。知恵市場は、ファーストサーバのサービスを使っていて、年間3.5万円ほどかかる。これでも以前に比べたら非常に安いが、今や無料のサービスで独自ドメインが設定できるところもが多くなった。今rside.meなどをホスティングしている「Tumblr(タンブラ)」は無料サービスであり、そのままかんたんに独自ドメインが設定できる。また「google sites」も無料でサイトが作れるし、GNOの「共用サーバ」では、100GBのスペースを月額1300円ほどの料金で借りられる上に、ひとつの契約で多数のドメインをおくことができる。以前はひとつのドメインでひとつのサーバを契約する必要があったが、今はそれがなくなり、いくつものドメインを(1)契約のサーバで運用できるようになった。
加えて、サーバ上で使うブログプログラムwordpressが登場し、レンタルサーバにブログを構築できるようになったのも大きな変化だ。以前は独自ドメインを取っても、コンテンツをいちいちhtmlで書いて、つくる必要があった。wordpressなら、ほとんど知識がなくても、システムファイルをダウンロードしてから、独自ドメインで自分だけのブログを構築するまで、30分もあればすんでしまう。しかもデザインテンプレートも機能も豊富なので、自分のwebサイトをつくるハードルが一気に下がったのだ。しかも無料で使える。
さらに、これらの独自サイトで書いた記事が、twitterとfacebookに自動的にアップできるようになった。その上、ちょっとしたプログラムを挿入することで、twitterを経由して、類似の記事のサマリを再びサイトに表示させることができるようになった。これによって、どのサイトで書いて、twitterやfacebookにつながり、twitter/facebookで書いたものも、サイトのテーマにあったものだけ自動的に選択して、サイト側に表示させることができるようになった。さまざまなサイトがほぼシームレスな状態が構築できるようになったのだ。これで、様々なサイトでさまざま活動をしていても、リンクをたどって巡回することができるのだ。
たとえばhttp://pcx.cxの下にあるtwitterの流れを見ると、rside.meやtwitterで書いた記事のタイトルも流れていることがわかるだろう。ハッシュタグ「#pcxrside」など、僕しか使わないようなタグをつくって、それを含む記事を流すようにしているのだ。
こうしてできた全体を示してみる。
改めてみると、よくここまで複雑かつシンプルに構成できたものだと自分で驚く。
さて、こうしてできた全体像だが、もちろん、これ自身、まだまだ変っていくだろう。rside.meも、年末まではプチ(petit.cc)でホスティングしていたが、変えてしまった。
大事なことは、自分が発信したいことを明確にして、それにあったホスティングやドメインを使うこと。それを、twitterとfacebookに飛ばすようにして(飛ばせるところを選び)、facebookとtwitterを発信情報の拡散に使う。twitterはフォロアーが多く(1000人)、スピードが速いので評価されれば伝播力がある。ハッシュタグを使って再収集することで、最新の活動をサイトで紹介することができる。facebookは「友達」(500人)のつながりが濃いので、メッセージが読まれる可能性が高く、反応が期待できる。
2011年は、ネット上での活動の幅と深さが、格段に前進した1年だった。その背景には、SNSのパワーと無料/低価格サービスの広がりがある。
情報発信のハードルが本当に下がった。以前はブログを書いても読まれることが非常に少なかったが、今はSNSなどの組合せで、反応が以前より格段に期待できる。それだけ、自分の活動を理解してもらいやすく、人も集めやすい、ということだ。また僕のように、マルチに動いてている人間にとっては、機能分けすることで読者の混乱を防ぐこともできる。
さらに、ここに、ツールとしての端末である、スマートホン、タブレット、ノートPC、そしてデジタルカメラがある。
このあたりの、ツールと、発信内容については、次回まとめたい。
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