(by paco)511リバーススピーカーをつくる

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(by paco)原発事故を巡って、日本政府と日本の中枢にいる人たちが、いかにむちゃくちゃをやる人たちかが分かってきた。

このむちゃくちゃな人たちに、どうやってNOといえばいいのだろうか。今週は、その話。


「むちゃくちゃ」の一例を挙げよう。

●夏の電力は足りているのに、国民には「足りない」と言い続けている。

東京電力、中部電力は、夏の節電を訴えているが、どちらも原発を止めたままでも夏のピーク電力が乗り切れることがわかっている。もちろん、夏の気温がどうなるかわからない今の段階では、「必ず大丈夫」とはいえない部分はあるものの、これまでやってきたような節電と、大口需要家の需要調整契約を使えば、ピークを落としつつ、すでに確保された電源で停電を避けることが可能だし、そのことは電力会社自身が、国会議員などに伝えている。

にもかかわらず、未だに足りないと言い続けているのは、なぜか? 原発を止めても電力が足りることが分かってしまえば、今後、原発を再稼働できないと考えているからだ。真夏のピークに、一般市民が節電するなら、エアコンを止めることにつながり、熱射病患者、死者が激増する可能性がある。市民の命を危険にさらしても、原発を守ると言っているのだ。

●小学校の校庭でも20mSvで安全という無茶

福島の放射線汚染地域の小学校では、校庭の放射線量が20mSv/年まで安全と国が宣言を出した。もちろん、安全なわけはない。労働基準法では、5.2mSv/年を超えると、放射線管理区域となり、18歳未満は働けないとなっている。5.2を遙かに超える20mSv/年を安全という国の姿勢に、ネット上では非難の声が上がっている。

大人より子供のほうが放射線感受性が強く、基準値も厳しくする必要があるのに、逆に大きな数値を基準にするというのは、明らかに意図的だ。このも大を質問した市民に対して、役人は「基準を1mSvにしたら、どれだけたくさんの学校が移転しなければならないか、おわかりでしょう?」と答えた。学校移転(避難)の手数とコストを惜しむあまり、子供を犠牲にしても平気な人たちなのだ。

●浜岡原発の元設計士「耐震強度データに偽装があった」と告発

元エンジニア谷口雅春さん(69)は、1970年ごろから横浜の東芝の工場で炉内構造物の設計を担当、耐震計算に必要な重量データを集計していた。計算したところ、地震にもたないことが判明、データを偽装して地震に耐えられることにした。

もともとの地震の想定を低く見積もるだけでなく、その想定さえクリアできないとわかると、都合のいいデータをねつ造してまで、原発をつくってきた。

なぜ?そこまでやるのかという疑問が湧くが、原発の黎明期から、良心のある人はいづらくなるような環境だったのだ。ISEPの飯田哲也さんも元原発の研究者、反原発を訴え続けた高木任三郎さんも同様。原子力資料情報室のUStreamで知られるようになった後藤政志さんもそうだ。

高木任三郎さんにいたっては、1995年にすでに今回の地震による原発事故をまるまるすべて予見していた。

良心のある科学者、エンジニアは去り、悪意のある意思決定に耐えられる人間だけが残ったのが今の原子力村である。

もちろん他にも、無数に例をあげることができる。

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ではなぜこのような事態に至ったのか。

いろいろな背景は考えられるが、大きな理由は、僕たち一般市民が原発問題に関心が無く、原子力村、電力村の人々が勝手にやるのを放置したことが大きい。しかし、少数ではあっても、具体的に問題を指摘し、警鐘を鳴らした人も多かった。その少数者の声が、多数の市民、そして為政者に届かなかったことが問題なのだ。

一方で、電力村、原子力村の人々には、広告による言論統制という強い武器があった。電力の地域独占によってタップリ儲けた金を使って、大量の広告を出してメディアをカネで支配。原発は安全と連呼することで、市民を「過敏に過ぎる反原発派」と「良識ある一般市民」に分断して、一般市民が反原発派が発信する問題点に目を向けないようにした。一部の良心的なジャーナリストが原発の問題点に気づき、情報発信しようとすると、電力会社は露骨に干渉して情報発信の場を奪った。結果、原発のことを告発する機会が無くなり、ますます一般市民の関心は無くなっていった。

電力会社の圧倒的なプロパガンダに対して、原発に疑問を呈する声が小さすぎた。

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このような関係を見た上で、何をするべきかを改めて整理してみる。

(1)「原発をめぐる問題点」については、今回の事故をきっかけに一段と情報が集まり、情報を子細に検討すれば、原発を維持することの危険性は疑いようがなくなり、脱原発へ舵を切るしかないことは明らかだ。

(2)原発がなくても大丈夫なのかという疑問については、第一義的には既存の火力発電を活用すれば、日本全国で重要を満たすことができる。とはいえ火力発電ではCO2発生が急増するため、長期的には別の戦略が必要だ。

(3)長期的(この夏の電力不足を乗り切ったあと)には原発をフェードアウトして、代わりに再生可能エネルギーを増やす方向が答えるになる。日本では再エネを増やすのは困難との見方もあるが、実はこれも原子力村、電力村の人々が流したプロパガンダ。適切な政策を打って市場原資を併用しながら普及を図れば、10年単位では大幅な増加が可能。技術開発の余地も大きい。

(4)省エネを進めることも重要。日本は省エネが世界一進んだ国ではあるが、まだまだ省エネ余地は大きい。省エネで総需要を下げた上で、再エネを一気に増やせば、脱原発とCO2排出の大幅削減を同時に達成することができる。

つまり、これからエネルギー問題をどうすればいいかの答えは、大きなわく組ではすでに出ている話で、うろたえることは何もないのだ。


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ここまで見てくればわかるとおり、原発問題は、電力村、原子力村のプロパガンダに一般市民の声がかき消されて聞こえなくなったことが、大きな理由と見立てることができる。

そこで、この見立てを逆手に取ることを考えてみよう。

これまでは、電力会社の資本力によるプロパガンダの声が大きかった。

これからは、インターネットを通じて一般市民にの声が、大きく、政治や行政、経営者などの届けば、力関係が逆転することになる。これまではカネの力でプロパガンダをしてきたわけだが、これから無料のインターネットを使って、プログラムを使って声を拡大し、逆に向こうをプロパガンダすることさえ、可能だろう。

一方的に拡声器のようにプロパガンダを相手方に送ることができれば、向こうがプロパガンダをいうたびに、こちらからより多くの逆プロパガンダを投入してかき消す機能。小さな声で正論を言った人をピックアップし、みなでそれをネット上でプッシュして、声を大きくする機能。相手のプロパガンダが大きなスピーカーで降ってくるなら、こちらはその反作用として、さらに大きな声で相手に反論する仕組みをつくればよい。リバース(反転)スピーカーだ。

インターネットを使って、少人数であっても、システムのアシストを受けながら、大きな情報量で相手を圧倒することも可能だ。

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一例を挙げる。

ある新聞が「夏の電力が足りない、経済に影響が出る」と記事にしたとする。この記事を見たpacoやiwatoメンバーなどが、ISEPの試算や、東京新聞の社説を根拠に、新聞社の「ご意見」サイトで「いい加減な記事を書くな」という投稿を断続的に行い、またtwitterやfacebookで「この新聞社のいうことは信用するな、この記事は間違っている」と発言し続ける。電力村の言いなりになってちょっとした記事を書いた新聞社は、いきなりたくさんの「正しい反論」が投稿されるし、twitterなどの投稿も非難の嵐になる。

一方、ある政治家が「夏の電力は足りている、東電は正しい情報を出せ」とtwitterしたら、これを支持する意見がツイッターで返信され、政治家のwebサイトから賛成の意見が多数寄せられる。

このようなアクションを、一般市民が、あまり手間なく実現(投稿)できるような機能を持ったサイトをつくり、手軽に賛成、反論を送ることができれば、メディアや政治家への影響力は、大きくなっていくだろう。

通りすがりであっても、サイトを訪れた人が、サイトの機能を使って「脱原発」を訴えるメッセージを送ることができれば、サイトが市民にとってのプロパガンダ、拡声器になる。と同時に、単なる拡声器ではなく、企業や政治家、メディアの発言に呼応して、賛否のメッセージが届けば、発言に注意深くなり、間違ったことを平気で言うわけにはいかなくなる。市民を操るためのプロパガンダを行えば、その何倍もの反論を喰らうことになれば、次第にプロパガンダは力を失っていくだろう。

このようなコンセプトをベースに、今機能を実現することができるか、TIコンサルタント(情報士)のオトワさんと実装の研究に入った。うまく機能がでっけいできるか、まだわからないが、めざしたいところはだいぶ見えてきた。

近いうちに、プロトタイプがお見せできると思う。

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