(by paco)449ユダヤに学ぶ、戦略の意味

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(by paco)先週金曜日、おとなの社会科04「ユダヤと米国、民主主義」の最終回を行いました。これまで3回で学んできたことから、自分の視点で見て、何を学べたか、どう活かせるかを、受講者と一緒に考える回でした。

◆世界を動かす「意思」

前半では、ユダヤが米国を動かし、イスラエルというユダヤの国をどうやって存続させようとしているのか、そこからわかる、ユダヤ人の世界戦略について議論しました。

まず最初に、僕から、なぜユダヤについて関心を持ち、僕自身、何を学んだのかについて。

もともと、僕がユダヤに興味を持ったのにはふたつのきっかけがあります。ひとつは「日ユ同祖論」という考え方で、日本、特に皇室の祖先がユダヤ由来の人なのではないかという仮説です。これについては、これまでのコミトンに書いてきたので、そちらも読んでみてください。

244日本に来た東方ユダヤ人たち
">242 ユダヤ人のアイデンティティ
ユダヤ人って何?

ふたつ目の関心は、9.11同時多発テロのあと、いわゆる「ブッシュの戦争」が今も続く中で、「ネオコン」という言葉がクローズアップされて、そのネオコンがユダヤの指導者たちの考え方だということでした。

もともと「戦争はなぜ起こるのか」「戦争に訴えなくても紛争を解決する手段はあるはずだ」と考えてきた僕にとって、21世紀に入ってすぐに起きたこの戦争は衝撃でした。なぜ僕らの目の前で、あまり戦争の必然性がなさそうに見えるのに、戦争が行われるのか。その理由について、ネオコンの動きと米国政府の関係を調べていくと、ユダヤの発送が隠れていることに気がついたのです。

9.11テロが単純にユダヤによって筋書きされたものだとまで断定するだけの情報は持ち合わせていないのですが、戦争に至る流れはユダヤにとって好都合なトレンドであって、ユダヤがさまざまな場面で関与していた可能性はつよいと思います。

こうしてユダヤの研究をしてみると、ユダヤと中東問題が、第二次大戦後の世界にどれだけ影響を与えてきたのかがよくわかります。今回セミナーでも、ユダヤが世界最強の大国・米国を動かすことで、どれほど自分たちの有利に事を運べたのかを示したのですが、全世界で1300万人しかいない少数民族であるユダヤが、世界に大きなプレゼンスを持つことにいったメカニズムと、それが世界の動向にどれほどの影響を与えてきたのか、その大きさに驚きます。

押さえるべきところを効果的に動かせば、少数者であっても想像も付かない大きな影響力が持てるのだと言うことがわかるのです。

ここで受講者からこんな質問が出ました。「ユダヤは、はじめから力があったわけではなく、戦後、じょじょに力を付けてきたのだけれど、それはユダヤがはじめからその筋書を持っていたのか、そこまでは考えていなかったにせよ、結果的にそうなったのか」。

受講者の意見は「最初はそこまで考えていなかったけれど、ひとつひとつ積み上げた結果、大きな力を持った」というものでした。それに対して僕は逆で「細部の方法論はそのときどきで手を打ってきたことだろうけれど、大きな戦略は、最初から持っていただろう」と考えています。その理由は、ユダヤが第二次大戦中にナチスから受けた迫害がどれほど大きなものだったか、自らの生命と民族の存続がかかったとき、真剣に生き残り策を考える指導者が出てきたのだろうということ(危機感)、第二次大戦中、イギリスとユダヤ人指導者との間で、イスラエル建国の密約が結ばれていることから考えて、建国してからどうやってアラブ人の中でイスラエルを守るのか、そのための後ろ盾には英国ではなく、米国しか頼りにならないと考えたであろうことは、想像に難くないからです。

戦後、1948年のイスラエル建国の前後の強国といえば、米国、英国、ソ連ですが、英国は大戦で国力を消耗して、あまり頼りにならないことは明らかでした。かといってソ連、というかロシアは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヒトラーに匹敵するユダヤ人迫害を行っていて、これも頼りにしたくない国でした。実際、イスラエルが建国されると、ソ連にいた多数のユダヤ人(アシュケナージと呼ばれる)の大半がイスラエルに移住しています。

そうなると、やはり頼りになるのは米国であり、実際、イスラエルに移住しなかったユダヤ人の多くは、米国に移住しました。米国はユダヤ人にとって、住みやすそうな国だったのです。

となると、米国に移住したユダヤ人は米国内で、迫害されない国民であろうとするし、米国を動かして、イスラエルの存続に力を貸すように仕向けようとするのは、自然なことです。そして、そのためには米国政府を動かす必要があり、合衆国議会に議員を送り込んだり、親イスラエルの大統領候補を支援したりという方法論を考え、実行していくのは、自然なことです。

ユダヤ人は、数十年というスパンの戦略を立て、世代を超えてそれを実行していくだけのしぶとさがある人たちなのです。

◆自分の仕事にどう活かすか?

後半は各自の仕事のつながりを考えてもらいました。

僕自身は、ユダヤを学ぶことによって、長期的なスパンでものを考え、実践することの重要性がわかり、それと同時に、単に重要だというだけでなく、それは十分実行可能なのだということが実感できたことです。

もともと僕は、自分の仕事を10年スパンで考え、変化させる努力をしてきました。10年先に何をやっているかを考え、それが実現できるように努力してきたわけです。

もちろん、それがうまくいくとは限らず、たとえば、環境問題へのかかわり方などは、ある程度できてはいるものの、想定していたほどのポジションにはつけていないし、実際的に十分な報酬を獲得できてもいません。環境問題に本格的に取り組んで10年になりますが、道半ばです。ライフデザインは、むしろ対個人、対企業ともに、思ったより成果は上げられているのですが、自分としてはやっていることがばらばらしている感じで、満足がいく状況ではありません。

それでも、事前に戦略を立て、実行し、結果をチェックして前に進むということはそれなりに習慣になっているし、常に見えない10年先、20年先を見て進む姿勢は、リアリティがあることなのです。

日本人の多くは「10年先のことなんか、わからない」と口にしますが、ユダヤ人のやり方を見ていると、「わからないとあきらめてしまえば、わからない」ということになるのだと思います。そして、日本も、後ろ盾だった米国が凋落するタイミングになり、新たな戦略を立てる必要に迫られています。その「新たな戦略」は、国家に限らず、ビジネスでも同様でしょう。先が読めない時代だからこそ、先を読んで手を打つ人たちの行動様式を学び、自分のビジネスに活かすことは重要性を増しています。

「10年後はわからない」とは、安易に口にしないような、強靱な思考力を持った人材を育てていくことが、僕のこれから10年のひとつの目的(人生のwhat?)なのだと最近感じてます。

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ということで、2月の「おとなの社会科」は終わりました。

が、さっそく今週、3月の「おとなの社会科」が始まります。
3月は、4日(木)と18日(木)の2回、経済学をもとに日本の現在を考えます。


また空席がありますので、ぜひお出でください。
「ご紹介」制度もありますので、もし受講歴のある方を知っていれば、その人に頼んで紹介してもらいましょう。紹介者、被紹介者ともに、1回を半額で受講でき、お試しにはぴったりです。

年間の計画もこちらにまとめています。

また、録音で受講できる「otoshaラジオ」も始まります。こちらも申し込みが入り始めていて、手応えを感じているので、こちらでご検討ください。

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