(by paco)GWも終わり、仕事しろ?というタイミングですが、このところ堅い話が続いたので、楽な話しをしたいと思います。ねこちゃんです。
去年の6月に猫を飼い始め、そろそろ1年になります。猫を飼うということは、どういうことなのか、ちょっと話しをしてみたいと思います。
ここ数年、わんちゃんブームで、ペットと言えば犬、そうでなければむしろフェレットだとか、うさぎだとか、ネズミだとか、小動物に注目が集まりがちで、ねこはペットの王道だったにもかかわらず、省かれてしまったかのような感があります。僕たち家族も、当初は犬を考えていました。
我が家には以前からうさぎがいて、今飼っている「メロン」は2匹目(うさぎは一羽二羽と数えるのですが、匹や頭でもいいそうです)のうさぎです。メロンは今年で8歳になり、寿命10歳と言われるうさぎにしてはなかなか長い生きで、今も元気です。うさぎはとても飼いやすい動物で、特にメスのうさぎはおとなしく、人なつっこいうことが多いようです。あまり知能が高くないので、人間を個体識別する能力も低く(個体差があるようです)、家族の誰が好きというような好みもでないし、愛情をかけることは必要ですが、犬のように毎日散歩に連れて行くというような手をかけないと、性格が荒れるとか、そういうことはありません。かまいたいときにかまい、ほとんどの時間は放っておくという人間本意の付き合い方ができるので、楽です。
ただ、飼いやすすぎて、逆に反応に乏しいうさぎちゃんには、ちょっと物足りなさも感じていきました。おそらく娘が育ってあまり手がかからなくなったことも影響していると思います。もうちょっと手がかかってもいいから、生き物と関わるのもいいな、という感じの気分の中で、犬でも飼おうかという気持ちになっていったわけです。
六兼屋にはいろいろな来客があるのですが、わんちゃん連れのこともあり、見ていると犬もなかなかかわいい。これもいいかも、と思って、のんびり探す、というより情報収集というか、ペットショップがあると見に行ってみるという感じになったのが、今から2?3年ぐらい前から。やっぱり純血種がかわいいか、という話になり、長毛のチワワかティーカッププードルを推す妻と娘に対して、ミニチュアダックスでしょうという僕とのあいだで、他愛ないおしゃべりをしていました。
ただ、もともと大の犬嫌い(というより苦手)で、「生類哀れみの令に違反して刑死した人が自分の前世」というbibiちゃんなので、ヨシッすぐ飼い始めよう、というわけにはいかず、決定打がないまま1?2年繰りました。ねこもいいよね、という話は時々あったもものの、あまり大きな話にならず、やっぱり犬か、という考えていた今から1年半ほど前。
六兼屋近くのホームセンターにペットショップがあり、ほとんど犬を売っているのですが、たまにねこも入る、というその店に、アビシニアンというねこが入りました。山猫を細くしたようなスマートで精悍な外観に、怖いねこだね?と言いつつも、ねこも気になっていたのですが、ある日、眺めていると、ペットショップのおねえさんが抱かせてくれました。「アビちゃんは怖そうに見えるけど、性格は人なつっこいんですよ」「あまり鳴かないし、声も小さいし」と言われ、抱いてみると、手の中でふんわりと柔らかく、犬とはまったく違うしなやかさ。比べると、犬は骨張って筋肉質、体が硬くて棒みたい。ねこはふっとからだの力を抜いて抱かれて、骨がないみたいな優しいだき心地です。動きも、子犬はいつもせわしなく動いてあちこちに興味を示しているの対して、ねこは動きがゆっくりで、せわしなくないし、かといって人に無関心でもない。おっとりとして癒し系なようすと、やわらかさに一瞬で魅せられてしまい、やっぱりねこってすごいかも、とねこに宗旨替えしてしまう僕たちなのでした。もうひとつ気に入った点は、匂いがないことです。犬は普通に飼っていてもけっこう動物的な体臭がありますが、ねこはそれ自体にほとんど匂いがありません。家の中が動物くさくなるのが嫌だったので、これも決定打になりました。
そうなるとねこが気になって仕方がなく、妻も娘もネットでねこサイト巡り。ねこのブリーダーはキャッテリーと言うんだって、とか、ねこは特にペットショップで買わない方がいいんだって、とか、もう一気に情報が入り、買うと決める前から話題騒然。どのぐらい値段するものだとか、食べ物はどうだとか、旅行に行けるのかどうかとか、クルマで移動して大丈夫なのかとか、もういろいろな情報を集めまくりです。3人でネットを徘徊しては情報を集め、交換するので、知識の蓄積は一気に深まりました。
そんな中、どの猫種(ねこしゅと読むことが多い)するかがやはり議論になったわけですが、やはり最初に抱いて気に入ったアビシニアンが忘れられず、でもほかにも定番のアメリカンショートヘアとか、ソマリ(あまり知られていませんが、アビシニアンの長毛種)、アメリカンカールなど、いろいろ候補も上がりました。よいペットショップがあるとわかれば、何か所か実際に言ってみたところもあります。
ネットで知り合った人からの紹介で、アビシニアンのキャッテリを紹介してもらい、買う気満々で来訪したがちょうど1年前。川崎の個人のお宅でねこの繁殖をしているMさんのところにいって、当時コードネームでテマリちゃんと呼ばれていたオスのアビシニアンを「どうですか?」と言われてかなり気に入り、これは我が家に迎えたいかも、と思いつつも、無責任な飼い方はしたくないから、といったんは自宅に帰りました。僕たちはみな、けっこう慎重なのです。
家族の話題はさらに盛り上がり、テマリちゃんを飼おう、という話にまとまって、でもちょっと知りたいことがあるからと、bibiちゃんがキャッテリの奥さまにメールをしました。「耳の前の毛が薄かったのですが、こういうものなのですか?」。僕らは猫を飼うのははじめてだし、単純に知りたいだけだったのですが、かえってきたメールは衝撃的なもので、「うちのねこは病気のねこではありません、疑うような人にうちの猫をゆずるわけにはいきません」と言われてしまい、全員びっくり。ひっくり返りました。ただ聞いただけなのに。病気など疑ってないのに。とはいえ、こちらもそんなエキセントリックな人から飼うのは不本意なので、かわいいテマリちゃんはあきらめることにして、猫探しの旅は振り出しに戻りました。
ちなみにアビシニアンは本当に魅力的なねこで、スレンダーでしなやかな短毛のからだ、野性味あふれる外観と、抜群の運動能力。タンスの上までも一気に飛び上がり、素早く動く身のこなしは、ほかの動物では味わえないかっこよさです。能力の高さは足音にも表れていて、何しろ足音がしない。タンスの上から飛び降りても、気がつかないほどです。いかにうまく衝撃を吸収する力があるのか、ということですね。いろいろなねこ種を見てみたのでわかるようになりましたが、アビシニアンの運動能力は他を圧倒しています。人間には真似のできない身のこなしは(身長から考えれば、人間が2?3階建ての家の屋根に一気に飛び乗り、音もなく降りられるような感じです)、ほれぼれするほど魅力的です。
その一方で、鳴き声が実にかわいらしく、いわゆるニャー、ミャーという鳴きかたではありません。ころころ、ちろちろと鈴を鳴らすような鳴き方で、本当に猫が鳴いてるの?という感じ。性格は鳴き声の方に近く、人なつっこくてけっこう関わりたがるし、抱き上げてもそれなりにおとなしくしていくれます。野性味と優しさの不思議なバランスで、このねこ種に魅せられる人は多いようです。
とは言うものの、いったんはアビシニアンが白紙に戻り、失意の中で「もうねこなんか探すのはやめだ?」と思いつつも気になり、ま、ねこを楽しんでこようと、西小山の「キャットカフェ」に行ってみることにしました。最近キャットカフェはあちこちにできていて、ねこがいる部屋でお茶を飲むスペースです。訪れた店はソファを置いたりして家庭のリビング風にしつらえたねこが常時10匹ぐらいいて、入れる人数は8人ぐらいでしょうか。もちろん人数制限があります。飲み物代込みで、1時間数百円ほどの料金を払い、家族3人で入って見ると、先客として若いおねえさん(会社帰りのお友だちふう)がいて、猫じゃらし型のおもちゃでねこにちょっかいを出して遊んでました。僕らもお茶もそこそこに写真を撮ったり、寝てるねこを無理に抱き上げたり、猫じゃらしで遊んだり、店のオーナーにねこ情報を聞いたりと時間を過ごし、「実は探しているんですよ」というと、「うちにいるターキッシュアンゴラの親元で、まだゆずってくれるねこがいるよ」と紹介してくれました。
その店にはターキッシュアンゴラがたくさんいたのですが、このねこはほかでは見たことが無く、はじめて見るねこです。長毛なのに、ペルシャ猫のようにずんぐりふくらんではおらず、スマート、でも毛が柔らかくて触り心地は最高です。気品があり、しなやかで運動能力もアビシニアン並みに高そう。顔が前にとんがる野性味ある顔つきもアビシニアンに近く、アビシニアンにはない、大きくて存在感のある耳が特徴です。性格も人なつっこく、しつこく遊んでも嫌がりつつもそれなりに付き合ってくれるのがいい点です。これはなかなかいい猫種かも、とちょっと興奮気味に店をあとにして、戻って情報収集。日本ではほとんど市場に出回らず、限られたキャッテリーが年間十頭ほど子猫を育てて販売しているだけ。トルコ政府が管理している純血種で、ペルシャ猫がはやる以前はヨーロッパで愛されていた。性格や飼いやすさの情報もあり、僕たちが求めているものに近そう。
ともあれキャッテリーにメールをしてみたら、店の方からすでに連絡がいっていたらしく、見に来てください、と場所を教えてくれました。とはいえ、前回、買うことに決めた猫に「逃げられた」苦い経験があるので、あまり信用はせず、なるべくニュートラルな気持ちで行こうね、と話し合いつつ、予定を決めて、去年の6月のある日の夜、千葉県側に渡ってほど近い街のマンションに行ったのでした。ちょうど車を車検に出しているときで、借り物のAlfa166にカーナビを付け直していったのですが、こういう知らないお宅に行くときにはカーナビは強力です。
僕たちを暖かく、というよりはさっくりと迎え入れてくれた女性オーナーさんの家は、猫がぎっしりという感じで、大人、子猫を合わせ20匹ぐらい。3LDK、80平米ぐらいと思われる普通のマンションの1室にねこちゃんのケージが並び繁殖用のオスだけがケージに入れられていました(やたらに交尾しないように)。繁殖用のオスは、けっこうかわいそうな目にあうのです。子育て中の母猫が2頭、そのうち、すこし前に出産した子猫の中から、これとこれとこれとこれとこれならお譲りできます、とコードネームが付けられたねこちゃんを教えてもらったのですが、数が多くてなかなか覚えきれません。
猫じゃらしで遊んだり、キャットカフェのように遊びながら、あの子がいい、この子はどうと話し合いつつ、やっぱりターキッシュなら白猫だよね、ということで、ふわふわの毛が超かわいいムツキちゃんにターゲットが絞られました。猫もたくさん見ていると、個体差で性格が違うことがはっきりわかります。ムツキはかなりビビリな性格で、椅子の下に潜り込んでなかなか出てこなかったりするのですが、いったん遊び出すとやんちゃだし、おっとりした性格なのも気に入りました。
うさぎのメロンと同居しなければならないので、過激な性格だと、うさぎを攻撃しやすいと思ったからです。
うさぎとの同居ができるか、六兼屋との往復生活なので、クルマに乗せて大丈夫か、という2点はかなり心配でした。でも、「子猫から飼って、ならせば大丈夫じゃないかしら」と言われて、その気に。実はいろいろなことをいう人がいます。基本的にはねこはクルマが苦手、吐いてしまう猫も多いようです。うさぎとの道教も経験者が少ないので、安易なことはいえないという人が多く、「いろいろ聞いてみたら、うさぎと同居している人もいるみたい」「どちらかをケージに入れておけば大丈夫(あたりまえ)」「猫がウサギをかみ殺しても、その猫を愛せるの?」という人までいろいろでした。実際には飼ってみなければわからない、飼ってみてからも細心の注意は必要、と言うことで、覚悟を決めていたのですが、なるべく優しい性格の猫にしたかったのです。ムツキなら、なんとかなりそうでした。
2時間ほどおじゃまして、「この子なら大丈夫」とみんな考えるようになってきたので、今回は即日お持ち帰り。お金も握りしめてきたので、現金で15万円を払い、売買契約書を交わして、引き取ってきました。それ以前にねこを飼うことは決めていたので、移動用のケージとトイレなどは買っておいたのです。契約条件は、去勢し、繁殖させないこと、一定のクォリティ以上のエサを与えること、室内飼いをすること、予防接種を受けさせ、定期健康診断を受けること、病気になったらちゃんと医者に診せること、など。一方売り主側は、1か月以内に死んだ場合には返金か代わりのねこを提供するといった責任があります。
とこで、この15万円という値段ですが、販売業者を通せば、20?30万円ぐらいになることがわかり、直接購入でラッキーでした。値段が高いと思うこともあるでしょうが、猫をたくさん飼うにはかなりのえさ代やスペースがかかり、売れるかどうかにかかわらず全猫最初の予防接種や健康診断を受けることなどを考えると、決して高いとは言えないと思います。犬も血統書のあるものはこのぐらいの値段しますから、品質に対しては妥当と思います。もちろん、ただでゆずってもらえる猫や、捨て猫を保護して買い主を捜している人もたくさんいるので、果たしてこういう飼い方がいいのかという疑問も感じますが、愛せる猫を飼う、というも重要ですから、使命感だけで買主の名乗りを上げるのもヘンです。
ということで、生後3か月のねこちゃんが我が家にやってくることになりました。
猫との生活はどうなのか、次回書きたいと思います。書き出してみたら、例によって思った以上に書くことがありました。
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