(by paco)383 希望を語ること、グーグルと環境保護

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(by paco)今週は、ふたつのテーマで行きます。最初は、若い世代に希望を語ることについて。

★40代はゴキゲン

先日の大学生との会話。

学生「就職したくない、学生のままでいたい」というので、
paco「僕も学生の時はそう思ってたな?」
paco「でも社会に出てからは、学生に戻りたいと思ったことはないな」
学生「それは先生が成功者だからだよ」
paco「いや、そういうことじゃないと思うな」
学生「どうしてですか?」

というので、いろいろ考えて話しました。

若いうちが華だよね、社会人になると遊べないよね、大人になるにつれて自由じゃなくなる、と、僕自身学生の時には考えていました。就職して、一流企業に入って、小さくて幸せな家庭をつくって、というほど絵に描いたような将来を考えていたわけではないので、会社員は大変なんだとか、社会に出ると自分の思うようにならないのだというようにはあまりイメージしていなかったのですが、それでも漠然とした不自由感はありました。

では実際のところ、社会に出てどうだったか。僕の感覚では、社会に出て、仕事をして、親の家を出て一人暮らしや結婚生活に入ってみると、学生時代よりずっと自由だと言うことに気がつきました。確かに仕事をする時間はとられるし、大変なことは多いし、お金も全部自由になるわけじゃない。

実家にいたときにも、僕は奨学金をもらってその金で大学に行っていたので、親に頼っていたわけではないし、家庭教師や塾でアルバイトをたくさんしていたので、収入も若い会社員以上に稼いでいました。それでも自分はまだ半人前で、自分のことを自分では完結できない状態なのだというような自覚がありました。

社会に出て、仕事の信用もついてきて、会社からもらう給料分以上は働いているなと思えるようになると、それがしっかりとした自信になっていることにだんだん気がつきはじめました。自分は自分の力で生きていけるのだ、誰からも後ろ指さされたり、半人前だと言われずに生きていけるし、自分の判断でたいていのことはできるのだと思い始めたら、すごく自由になった気がし始めました。

父親が買ったクルマから、自分のお金で初めて買った車に乗り換えたのも自信のひとつになったし、自分の収入に見合うと思って選んだ木造アパートから、鉄筋コンクリートのマンションに引っ越したときも、自信になりました。

結局のところ、振り返ってみると、学生時代までは人生でかなり不自由な時期で、自信も乏しく、何かをしようと自分で決める力も不足していたことの気づきます。

健康面でも、20代の僕は、今より不安定で、今思うと、当時より今の方がぜんぜん元気です。確かに筋力や瞬発力はありました。しかし胃腸が弱くて、食べ過ぎれば胃薬、ちょっとしたことでおなかを壊して整腸剤を飲んでいたし、精神面でも、気が強いわりに繊細で、思うようにならなかったり、心ない言葉を誰かに投げつけられたりすると、そのたびに気持ちが振り回されて、落ち込んだり、浮き上がったりしました。昔から感情の起伏はそれほど激しい方ではなかったので、たぶん、精神的には、平均値よりは強く、安定していたと思いますが、それでも気持ちの振れ幅は激しくて、自分でももてあましたり、心の変調が体に来たりしていたと思います。

今は20代よりずっと精神面で強くなり、ストレスフルなことがあっても、それで気持ちが乱高下したり、体に応えたりというようなことはほぼなくなりました。日々安定して気持ちよく過ごせることが、以前と比べればずっと多くなっています。

もちろんストレスはあるし、感情の起伏もありますよ、それがなくなったら生きてないようなものです。でも、日常的におこるいろいろなことに、心が振り回されている感は、以前よりずっと小さくなりました。だからといって、怒ったり悲しんだりという感情が希薄になったわけではありません。怒りは感じるし、うれしいことは思わず涙が出ちゃうほどうれしい。でもそれが振り回されているように感じることはありません。

そんなことをかいつまんで学生に話したら、ぽかんとした顔をしてました。40代のpaco先生より、自分たちの方がずっと自由で楽しいに決まっていると思っていたからなのかどうかわかりませんが、おとなのほうが自由で楽しいという人がいるというのは、新鮮だったのでしょう。

さて、あなた自身はどうでしょう? 高校生や大学生、新入社員など若い世代に、若いときより今の方が仕事も生活も充実していると答えられますか? 

今、時代は不透明度を増していて、将来に希望が持ちにくいと言われます。明るい未来は目に入ってきにくい時代です。でも20代の若い世代にとっての10年後、20年後に当たる、30代40代が、「少なくとも自分は、20代の時よりよくなったよ」といってあげられれば、彼らにとって希望になると思います。もちろん、個人的な感覚に基づくことですから、自分が思ってもいないことを言うべきではありません。でも何となく、ステレオたいぷな言葉として、若いときはいいよね、などといっていることはありませんか? 厳しい時代だからこそ、若い世代に希望が持てるような言葉をかけてあげたい、そしてそれを、それぞれの大人たちが、自分の実感が持てる範囲で話していくことが、今の時期、とても大切なのではないかと思います。

ちなみに、これに絡んで、今とってもむっとしているのが、最近、いくつかの企業のこととして伝えられる、「内定取り消し」です。景気が悪くなり、収益が落ちつつある今の時期、採用しようと内定を出した学生に対して、「やっぱり取り消し」という仕打ちをする企業があるというのは、本当に情けない。最低最悪の会社です。企業にとっては、業績が悪化する局面で、育成に時間がかかる新卒を大量に採用することはできないと考える気持ちはわかります。しかし、学生の立場になってみたら、それがどれほどひどい仕打ちなのか、わかります。内定をとったと言うことは、就職活動はすでにやめているわけで、いまさらほかの企業を探すのは困難です。その会社から内定をとったので、通信教育を受けると、実際的なお金を使っているという学生もいます。社会に出る最初のタイミングで、社会からひどい仕打ちをされるということが、どれだけ社会不振につながるか。

小規模零細企業ならともかく、一定規模以上の企業なら、歯を食いしばってでも採用し、育成することで稼ぐことを考えるべきです。プライドがないにもほどがある。

学生は、こういうひどい企業のことは、ネットでどんどん公開し、「祭り」にしてつるし上げてしまえばいいのです。翌年から、誰も就職試験を受けに行かないようになれば、存亡の危機になり、復讐を遂げられます。

大人たちは、もっときちんと責任を果たすべきです。


★グーグルマップが環境活動を加速する

今週ふたつ目の話題は、グーグルマップです。

グーグルマップは、世界の環境NPO、NGOにも利用されていて、環境保護活動の大きな武器になっているという話は、聞いていました。今回、僕自身が、グーグルマップのパワーを実感することになりました。

友人からの紹介で、東京の多摩地区にある雑木林の保全に協力してほしいという依頼があり、先週、関係するメンバーとあっていろいろ話をしました。現状の雑木林が大樹な宅地開発で消滅の危機にあるというのですが、仲介者が環境に詳しくないこともあって、要領を得ません。現地の住所も詳細にはわからなかったのですが、「A駅から徒歩10分ぐらいの森」と聞いたので、さっそくグーグルマップで調べてみました。A駅を表示させてから、航空写真を表示して、周囲2?3キロをスクロールさせてみました。

すると、その範囲でまとまった広さの雑木林はほぼ1箇所しかないことがわかったのです。さらにグーグルの航空写真は余分なものが写らないようにするためか、冬の写真が多いので、雑木林仮装でない樹林かは、見ればすぐにわかるのです。

場所が絞り込めたら、ストリートビューに切り替えて、森の周囲をひとまわりしてみることにしました。こちらも冬の写真が多いので、雑木林の奥の方まで見えるところもあり、広大な森の周囲をほぼひとまわりすることができたのです。残念ながら、森の中には道がないので、ストリートビューで森の中を散策することはできないのですが、周囲を歩くだけでもわかることがたくさんあります。樹種、地形、森の外の住宅や道路のようす。特に、森に向かう道がどのように森にぶつかるかが興味のあるところで、一部の道は森に向かってぶつっと途切れていることがわかりました。森を貫通する道路の計画がありそうです。またストリートから森を見たときの角度で、森は丘上になっていて、下の受託ちとの標高差は20?30メートル程度かなというのも見当がつくのです。

周囲の住宅地から見た写真も重要で、森の周りが荒れていれば、住宅地の住民は森の存在が疎ましくなり、改發に賛成する意見が増えそうだし、森の周りがきれいに片付いていれば、森を切らなくてもいいと考える人が多くなりそうです。

再び航空写真に戻り、森の中の土地利用を見てみました。ほとんどは森ですが、一部、畑や小屋、住宅があるようです。しかし、戸数はわずかで、済んでいるようすは感じられません。家の周囲にクルマが見えないからです。駅からの距離、農家という仕事を考えると、クルマを持たないと言うことは考えられないので、クルマがないということは、納屋がある程度で、住んでいる人はいないと考えたほうが良さそうです。

地形もわかります。川があれば谷筋だし、谷があるということはその両岸は尾根になっている可能性が高い。谷が深いようなら、自然は豊かになります。

グーグルマップで全体の雰囲気をつかんだ上で、検索をかけ、開発計画や反対運動の有無をつかみ、開発着工に向けて、どの程度の段階にあるのか、見当を付けます。わかったことは、すでにけっこう終盤にさしかかっていて、開発をこの段階で止めるのは困難かと思われました。

と、こんなところまで調べた上で、僕なりのイシューをたてて、何がわかれば、今後の開発反対運動の方向性が見えてくるかを考えておき、ひとまず準備は終了としました。

翌日、実際にメンバーにあっていろいろ話を聞き、僕なりの見解をも加えて話すことができたので、反対グループの活動にも貢献できたと思います。

初回ミーティングは100分程度と時間が短かったので、彼らからの情報インプットではなく、実質的なディスカッションをやりたいと思っていたので、準備が十分できたおかげで、よい議論になりました。森が開発から守れるかどうかは、楽観できません。でも、なんとか防いでみたいと思っています。

グーグルは、各地の森林保護や生態系管理活動などにも利用されています。プライバシーの問題も指摘されますが、それ以上の価値があるのです。

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