(by paco)このところ、世界スケールの話が多めなので、身近な話を書きたいなと思い、やっぱり料理ネタかなと、久しぶりに書いてみることにします。
僕の料理は、いわゆる「男の料理」ではなく、家庭の「シュフの料理」なので、ごく普通の献立をごく普通の食材を使い、短時間でつくって、おいしく食べる、と言うものです。どこの家庭でも普通にやっていることを、男の僕がやっているという点だけが、ちょっと違うところです。
結婚当初、というより、それ以前から、僕が料理をしてきたのですが、理由は単純で、ぼくの方が料理がうまく、速かったからでした。
僕と妻は結婚まで8年ぐらい付き合っていたので、その間、あちこち旅行に行ったりもしてきて、途中からは経済性と親密感で貸別荘によく行っていました。20代のカップルが貸別荘を借りて小さなキッチンで、さてどうしようかというシーンなんですが、一緒に近くのスーパーマーケットに買い物に行き、食材を選び、献立を考え、別荘に戻ってご飯を作ろう、となるわけです。まあ、ままごとの延長みたいなものですね。
最近は、六兼屋の近くのスーパーマーケットで、かつての僕らのような若いカップルが二人で食材を選んでいるところにときどきであって(夏や、GWなんかは、よくいる)、泉郷とかのコテージを借りているのか、どちらかの親が持っている別荘に来ているのか、なんだか楽しそうだなあと思いながら、食材を選ぶふりをして近くまでいってそっと話を聞いたりしています(もちろん、ほんの一瞬ですけど)。これを焼こうとか、これを刺身にしようとか、肉が多いとか、牛肉は高いからだめとか、こういう会話を聞いているだけで、なんかうれしくなってしまうのは、同じような時を過ごしてきた経験があり、あんな感じだったな?とか、そのままハッピーに結婚できるといいね、とか、自分の来し方にオーバーラップさせることができるからなんじゃないかと思います。
街中や電車でいちゃいちゃしている若いカップルを見てバカップルとか、似合わないとかいう御仁が多いのですが、僕はこういうカップルを見ているのもけっこう好きで、自分もバカップルだったからかもしれませんが、だれが見ていても自分たちの愛を確かめ合いたいという気持ちが持てること自体、すばらしいことじゃあないですか。自分のかつての姿をちょっと思い出してひとり隠れて照れ笑いしたり、そんな気持ちになれるのも、若いうちの経験があってこそです。
自分たちの若い頃はそんな(みっともない)ことはしなかったと非難するより、楽しそうだなと、幸せのお裾分けをしてもらった方が、心が温かかくなるものです。非難する気持ちは心を冷やし、共感する気持ちは心を温めます。心が温かくなる経験がたくさんできることは、Quality of Lifeの高い人生の基本だと思うのですね。
さて、料理です。
貸別荘で、ちょっとエエカッコシイをしたくて料理なんかをしてものだから、彼女(妻)はすっかりその気になり、以後、料理は僕の当番に(^^;)、と単純ではないのですが、僕としては得点を稼ぎつつ、結局うまいこと彼女に乗せられたのは間違いありません。
結婚してからも、結局僕が料理のほとんどを担当することになりました。以来、今に至るまで、基本的には1日三食、家族の食事を作り続けています。
では僕自身はどうやって料理を学んだのかと言えば、独学というか、何となくというか、特にどこかで勉強したわけではありません。実家にいるときも、得にやる方ではなく、母親は料理が得意だったので、男子がキッチンに立つ必要はありませんでした。ただ、大学に入るころから、生活時間帯が遅くなり、塾のアルバイトで遅く戻ってくる僕の食事が残っていないときは、自分でつくることが普通になって、この頃から自分の文は自分で作ることがあまり苦にならなくなったのだと思います。最初は野菜炒めとか、肉を焼くとか、パスタをゆでてケチャップで炒めるとか、その程度だったのが、だんだん複雑な料理をつくれるようになりました。食べることは好きだったので、どうせつくるならちょっとはおいしく食べたいと思うのも自然だし、実際、ちょっと工夫を加えると、料理はおいしくなります。
たとえば、スパゲッティをゆでてケチャップで炒めるときに、ベーコンを加えることを覚え、さらにあらかじめガーリックを薄切りにして油で炒めていてからパスタを炒めるとか、油はサラダ油よりオリーブオイルのほうがおいしいとか、そこにしろワインを人たらしすると味がよくなるとか、使う塩は普通の塩より、岩塩や釜焚きの塩の方がおいしいとか、仕上げにパセリを刻んでかけるといいとか、パセリも生パセリと乾燥パセリではずいぶん味が違うとか、コショウもいいけど、ガーリックと一緒にたっぷりの鷹の爪を炒めておくと、かりっとしたからみでおいしいとか、炒めるときは、おも生きっきりスパゲッティがかりかりぐらいに炒めるのもなかなかいい感じとか、まあそういういろいろなことを学んでいきました。
自分で考えたものもあるし、デートでどこかのレストランで食べた味を覚えておいて、再現してみることもありました。本屋で料理本を立ち読みして技をひとつかふたつ覚えて帰り、やってみるということもありました。
タイにいってタイ料理の味付けの基本を覚えてきたり(ナムプラやパクチー、ココナッツオイルの使い方がある程度わかると、それっぽい味付けはできるのです)、沖縄で食べた料理をつくるために、帰りに料理に使える安い泡盛やシマトウガラシを買って帰ってきて、つくったり。雑誌やネットに出ていた、エジプトやポリネシア料理のレシピをつくってみては改良したり。レシピを見ればつくれそうかどうかもわかるし、味もある程度見当が付くので、試しにつくるレベルでも、そんなにはずさないのですね。
実際にどんな料理をつくるかといえば、和洋中、たいていのものはつくります。よくつくる料理は、そうですね、そのときどきではやり廃りがあるので、一概には言えません。
つくるのが好きな料理としては、挽肉を使った料理はけっこう好きで、ハンバーグ、餃子、キーマカレー、ミートソースなんかをつくるときは、わりと気合いを入れておいしく作ろう!というタイミングの時です。
ハンバーグは、大きくに種類つくり分けていて、パンを多めに入れた柔らかくてジューシーなタイプと、逆に挽肉とタマネギだけのがっつり中身のつまったもの。家族には後者の方が好評で、げんこつみたいな分厚い、というか、固まり感のある形に作って、フライパンにたっぷりの油をあたためて、鍋ぶたをして、中火でじっくり20?30分かけて焼き上げるのが好きです。外をかりかりにして、中に肉の味と肉汁を閉じ込め、ほくほくに仕上がれば、とってもラッキー。
ソースもけっこう懲ります。僕の定番は、トマトたっぷりのソースで、トマト缶の酸味をなるべくそのまま生かし、マイタケなんかをちょっとかりっとフライして入れると、美味。ソースもたっぷりつくって、肉に対して絶対に足りなくならないようにつくります。タマネギはハンバーグの中にしっかり入れるようにして、ソースに入れない。ソースはシンプル&ビビッドに仕上げるのがポイントです。
あるいは、大根おろしを使った和風ソースと組み合わせることも。たっぷりのバターでガーリックを炒めて香りを出してから、細かめに切ったエノキダケを炒め、そこに水気を切った大根おろしを入れて、醤油を中心に味を調えます。みりんを加えて甘めの感じに仕上げるのもgood。このソースには実は思い出があります。僕が貧乏大学生だったころ(大学に入った年に父を亡くしたので、奨学金とアルバイトで卒業しました)、わりとお金持ちの家の家庭教師をしていたのですが、ときどき食事に連れて行ってもらいました。貧乏だったので、当時は1食1000円も食べればゴージャスな食事だったのですが、そこの家では家族で近くのビストロに連れて行ってもらい、料理だけで2600円の和風ハンバーグをときどき食べさせてもらいました。すごい高い、という感じで最初はびびったのですが(小心者だったなあ)、そのハンバーグのソースがエノキと大根おろし、バター風味で、これをまねしてつくったソースなのですね。忘れられない味、というところでしょうか。
餃子もときどきつくります。こちらもいろいろバリエーションをつくるのですが、家族にはシンプルなニラと豚挽肉のものが好評です。薄手で小さめの餃子の皮を買ってきて(自分でつくるほどは凝らないのだった)、挽肉500gぐらいに、ニラを2把ぐらい刻んで、塩コショウ、ちょっとのごま油で、あとは両手でよくこねます。つなぎを入れなくても、よくこねれば肉から粘りけが出て、挽肉がまとまってくるのです。ある程度まとまったら、大きな団子にして、ボールの底に投げつけ、たたきつけると、さらにまとまってくるので、あんはこれで完成。とは皮にどんどん詰めていきます。僕はけっこうこういう単純作業は好きで、100個ぐらいなら15?20分ぐらいで詰めちゃいます。30分ぐらい常温で熟成させてから、2個のフライパンを使ってこんがり焼いて、熱々のうちにガツガツ食うのがうまい!
魚介もいろいろ扱います。1匹丸ごとさばいて、刺身にすることも、おいしそうな魚が手に入れば、別に苦になりません。よくやったのはイサキで、もと住んでいたマンションのオーナーさんが釣りが好きで、釣ってくるとよくくれました。ウロコが付いたままでさばける人は少ないらしく、そのままでいいなら、といってまとめてもらったり。ウロコの飛ばない鱗取りを買ってきて、爪切りのようにプラスチックのケースにたまるような感じです。しっぽの方からウロコを逆なでするようにガリガリはずしてから、水洗いして、今度は肛門に包丁を入れて腹を割いて内臓を指で掻き出します。これがなんとも野蛮で、でもこれができるのは日本人だぜ、とか思いながらやるのも、ちょっと非日常でいい感じなんですね。内臓とえらを取って、全体をきれいに洗ったら、あとはペーパータオルで水気を切って、まな板の上で3枚におろす。しっかりした出刃包丁を買ったので、骨の硬いイサキでもきれいにおろせてナイスです。あとは大型のとげ抜きのような魚用の骨抜きを使って、残ったあばら骨をとり、皮を引いて、きれいな身にできれば、達成感ある?。あとはおばさんからいただいた柳包丁でささっと切り分ければ、釣り上げたばかりのイサキの刺身です。脂がのってうまい! ちょっと多めにもらったときは、3枚におろした状態で、フライパンでさっと焼いて食べるのもおいしい。軽く塩コショウして片栗粉をまぶして、ガーリックで香りをつけたたっぷりのオリーブオイルでかりっと焼きます。残ったオリーブオイルに、タマネギを乱切りにして、ちょっと水にさらしたものを入れ、コショウ、ローリー、タイム、バジルで香り付けしてから、ちょっと水を足して一煮立ち。タマネギがからくなくなり、しゃきしゃき感が残っているところで火を止めて、さっき焼いたイサキの切り身の上にざっとかけると、地中海風の味付けの魚料理になります。
いや?書いていると食べたくなりますね。
もっといろいろかけそうなので、また来週に続くと言うことで、お楽しみに!
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