(by paco)353仕事を効率よくやる(3)

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(by paco)「仕事の効率」シリーズ、今回で最後です。


■他人の仕事に干渉する

前回、「自分の仕事を短時間ですませる」「会議を短くする」という話をしました。これらは基本的に「自分の仕事」をなんとかしようという方法です。これに対して、人に働きかけて、自分の仕事時間を短くするという方法があります。

たとえば、会議の時間が自分の仕事の時間を長時間化させているという場合、会議を何とかしなければ、仕事の効率は上がらないということになります。自分の努力で改善できるところは粛々と進めるとしても、せっかく自分ががんばっても、長時間会議でそれが相殺されてしまうとしたら、がっかりです。

同じ構造のこととして、連携して仕事をしている相手先が時間にルーズだ、という場合もあります。自分の仕事が単独では完成せず、隣のセクションと連携してやっている場面で、相手のセクションが予定を大幅に遅れてしまえば、自分はその後始末をするように、忙しくなります。このような場合も、相手のセクションと一緒になって問題解決を図る必要があります。

多くの人は「まず全社的に目標を立てて取り組んでくれないと、自分がいくら努力してもムダだ」と考えがちです。「自分の仕事」の範囲を「自分が直接コントロールできる範囲」と決めつけてしまい、周囲からの悪影響については「自分ではどうしようもないこと」としてあきらめてしまうのです。自分や自分の上司は効率化のためにがんばっているけれど、よそは違う。自分が効率的な会議を仕様と提唱しても、「おまえが早く帰りたいからいっているだけだろう」と思われて、仕事をしたくないやつというレッテルを貼られてしまうと恐れる場合さえあります。そこで、全社的な方向性を決めてくれないと、共同歩調がとれない、と考えてしまうのです。

しかしこうした発想そのものが、自分で自分を小さくしてしまう元凶です。

こういう場合、やはりなんとしても、周囲を動かし、自分のムダを省くことを考えるべきです。

どのようにやるかは、会社や仕事のタイプによって変りますが、基本的には周囲にも効率的な仕事について理解してもらい、少しでも短時間ですむようにともに努力し、結果を出すことを狙うべきです。

ではどのようにやるか。

自分のポジションにも寄りますが、ある程度上の人に話しを通し、上から橋を架けるように相手方の上司に話をつけ、向こうの現場の人に話しをもっていくのが一番オーソドックスでしょう。課長同士が効率化について合意するか、それが難しければ、部長を通して課長に言ってもらう、といった方法です。仕事時間の効率化や、会議の短縮は、どの会社でも大義名分としては、問題なく通るものなので、ねらいを否定されることはないでしょう。問題は「どのようにやるのか」「実際にできるのか」「問題はおきないか」という点について、自分なりの仮説を持っていることです。

よくあるのは、当初決めたアジェンダがあっても、話しているうちに別の話に広がってしまい、話がずれて戻って来れなくなる場合です。会議の当初にイシューをきちんと決めて、それについて結論が出るまで徹底的に議論し、それ以外のイシューにずれてしまうことがよくあります。イシューがずれないように議長がしっかりコントロールすることが重要で、事前にしっかり準備をすると同時に、議論の中でイシューがずれたことを実感できるような能力を身につけておくことが、事前の準備になります。しかし自分が議長でなければ、コントロールするのも難しいです。このような場合は、参加メンバーに対して「効率的な会議の進め方」についての研修を受けてもらうという方法もあります。自分で本を読んで学び、自分が講師役になってほかのメンバーに教えてしまうという方法もいいでしょう。会議の効率化というテーマなら、独学でも十分できると思います。

「そこまでしてやるべき話なんだろうか」
「そんなことは自分の仕事じゃない」

などと、否定的な気持ちになるかもしれません。でも、もしこれをやらなければ、自分の時間は無駄な会議で毎週数時間分がムダになり、それが1か月では数10時間もムダにする、という人も、実際いるのです。

時間はすべての人に共通の、有限な資源です。自分の時間を増やし、充実させるには、勝手に奪われている時間を自分の手で取り戻させないと、誰も取り戻してくれないのです。文字通り、人生の無駄遣いになってしまう可能性もあります。

会議を改革することが、自分の仕事かどうかは、関係ありません。自分の人生の一部を自分のものにするためになら、会社から与えられた「自分の仕事」を超えて、自分を守るために行動することに、ためらう必要はないのです。こういうマインドになることが、実はまず一番重要なことです。しかも、会議を効率化しようという社員の動きを「それはやめるべきだ」と考える経営者も、基本的にはいません。経営の方向に沿っていることです。

ただし、現実的にはあらぬ批判を受けたりすることはあるでしょう。「人の仕事に口を出すな」「自分の仕事をきちんとやることの方が前だ」。こういった非難にどう反論するかは、一般論で語ることはできないのですが、こういう場面でこそ、クリシンや論理思考を使ってもらいたいと思っています。

僕なら、まず自分のチーム(課)内で「会議時間を減らそう」というコンセンサスを得て、課長の許可を得て、部長か隣の課の課長に話をしに行きます。あくまで「うちの課の合意」というスタンスであって、個人の提案ではないということを強調します。できれば、隣の課のメンバーの中に、1?2名でも同意してくれる人をつくっておく(根回し)努力もしておきます。

これと並行して、具体的にどのように実施するか、その方法を明らかにして、提案内容に含めます。総論OKでも、各論に支えられていないと、人は動きません。

上記のようなあらぬ非難を受けそうなときは、会社のミッションや行動指針の中から、「会議の効率化」に関係するところをピックアップして、「このプランは、会社の方針にあっている」ことを強調できるようにしておくといいでしょう。大義名分、錦の御旗をようしておくわけです。

次に、やることは、とにかく少しでも実績を出すことです。

実績を出すためには、実績をカウントできないといけないので、現状の会議の総時間を把握しておきます。現実の会議の「所要時間×人数」カウントして、それに当初の「予定時間×人数」と比較して、現状、どのぐらい改善余地があるか、明らかにします。

そのうえで、自分が考える方法を実践してみて、どの程度の時間が短縮できるか、実証します。その時に、はっきり効果を出すことが重要なので、たとえば10?30分短くするのではなく、半分の時間、3分の1の時間を、めざす短縮目標にするといいでしょう。高めの目標を立てれば、会議のやり方もドラスティックに変えざるを得ないし、メンバーに緊張感を与え、集中力を高めることが可能です。

とはいえ、会議の目標がずれると意味がありません。進捗調整の会議なら、メンバーの進み具合を把握して進める必要がありますが、「予定通りプロジェクトを進める」琴が目的になりすぎると、おくれがあるメンバーがそれを話すことをためらうようになり、会議はスムーズに終わっても、実際のプロジェクトは送れてしまったということもあります。会議のねらいははずさないように、実績を出し、その実績値を記録していくといいでしょう。

時間が短くなるという実績が出ればあとは定着ということになります。ここできをゆるめずに、毎回狙った時間ですむように、緊張感をもって会議に臨むこと。

前回も書きましたが、仕事を効率化するためには、緊張感、テンションを上げて集中して仕事に取り組むことが最も大切なことで、長時間働いたという充実感ではなく、短時間だけどこれ以上や利用がないぐらい集中した、ということに充実感を感じられるようになれば、仕事の効率はかなり上がってくるものです。

これが、隣の部署も含めた全体広がっていけば、結果として会社の質もかなり上がってくると思います。

この「社風としてのテンションの高さ」は、僕のように外部から行く人間にはけっこうよくわかります。テンションが高い方がいいと単純には言えませんが(ここに、一定のフレンドリーさがきちんと残っているのが理想)、やはりきちんと仕事をしようとしている会社は、気持ちがいいものです。

■時間を減らしたら別の仕事が降ってくる?

さて、いろいろ努力して時間が減ってきたら、会社はどう考えるかな、というと、「だったらもっとたくさん仕事をしてね」と量が降ってくる可能性もあります。せっかく時間が減らせたのに、もっとやれと言われたら、何もなりません。

ここで重要なのは、「自分はどの程度の時間、働きたいのか」という価値判断です。毎日定時に帰りたいのか、それ以下ですませたいのか、30時間程度の残業ならいいのか。会社以外の楽しみや居場所を確保できる勤務時間はどのぐらいなのか。Quality of Lifeの中での仕事のポジションを明確にして、それを超える仕事はうまく拒否し、その範囲ですむなら仕事を受けるべきでしょう。「どのぐらいが妥当なのか」も、自分で考える力がないと、結局会社の圧力に押されて、自分の時間は増えません。

ただし、仕事を前よりたくさんできることは、自分にとっては仕事人としての力が上がったということですから、おおいに喜ぶべきです。Quality of Life雅確保できる範囲で、なるべくたくさん仕事をすることも、大切です。仕事をしない方がいいという意味で、効率を考えるべきではないでしょう。

■誰かのために、自分の時間を使う

Quality of Lifeと仕事との関係をきちんと位置づけるためにいい方法としては、仕事以外の時間(の一部)を、自分以外の誰か、たとえば家族やボランティア活動など、別の誰かのために使うようにすると、仕事の時間がどのぐらいが妥当かも考えやすくなります。家族と週2回は晩ご飯を食べたいと考えれば、それが子どもたちにとってもいいことで、自分もうれしく、かつ家族から喜ばれ、それにふさわしい仕事量に抑えることは「間違ってない」「いいことだ」という実感が湧きます。帰ってもテレビを見るだけでは、「これがいいのだ」という実感にはなりません。同じテレビを見るのでも、好きな映画のDVDを見て、その感想をブログに上げる、ブログにコメントがついてうれしい、というようなアクティビティにつながるなら、意味を見いだせるでしょう。

結局人間は、自分の行動を正当化するための何かがあったほうがよく、「効率化して早く帰る」というようなことでも、それによって得られること、人から喜ばれることなど、結果を予想し、ねらいをつけた方が、アクションがとりやすく、自分でも安心して行動ができるのです。

ということで、ちょうど連休です。日ごろ日常業務に追われている人は、このタ移民で自分の仕事の効率やその上げ方を考えてみるのはいかがでしょうか。

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