(by paco)304ピラミッドストラクチャの基本構造

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(by paco)前々回、302号の続きということで、ロジカルシンキングについて考えてみます。よりシンプルに、ここだけ押さえればうまくいく、という基本を取り出そうと思っているのですが、なかなか難しいですね。そんなポイントのひとつを書いてみます。

302号の続きではありますが、アプローチが違うので言い換え、という方が適切かもしれません。

まず、ピラミッドの基本構造は、最上部の三角形にあります。

001ピラミッドの三角形.jpg

これはみての通り、ものすごくシンプルですね。上が理由、下が理由や根拠です。ピラミッドストラクチャでは、根拠という言葉はあえて使わずに、理由をいう言い方をしたの方がいいのですが、そのわけはまた後ほど。

頭の使い方としては、普通は理由に当たる情報(キーラインメッセージ)があって、そのことからある結論が導き出される、というしたから上に考える方法と、「こうあるべきだ」という結論が先にあって、なんでそういえるのかな?(Why?)を考えて、理由を探す場合があります。どちらも自然な志向の流れですが、ロジカルシンキングでは、基本的に

理由(根拠) → メッセージ

という方向に矢印をつけます。この方向はとても重要なので、何度も出てきます。忘れずに覚えてください。

こうして図を見ると、基本形が三角形であることがわかります。なぜ三角形か?

002キーラインの独立.jpg

三角形になるのは、上(メインメッセージ)に対して、下(キーライン)が複数あるからです。あたりまえですね。で、このキーラインは、通常3?5個にするのですが、これからあとの説明は、3個で進めます。5個あっても考え方は同じです。

3個のキーラインをつくる場合、この3つは何となく3つになっているわけではありません。3つがそれぞれ独立し、関係を持たないように、きっちり3つ、別の話をする必要があります。この「独立して関係を持たない」ことを、MECE(ミッシー)といいます。より詳しくいうと、MECEの「もれなくダブリなく」という意味のうち、「ダブリがない」というのが、「独立している、ということの意味です。

この3つのキーラインが独立しているので、3つの間に黄色のタテ線が引かれていると考えてください。この縦線は、話をくっきり3つに分けると同時に、反論に対する防火壁の役割も果たしています。

003防火壁.jpg

左のニャンコが一番左のキーラインに反論を加えていますが、この反論は、左のキーラインにしか影響を与えません。黄色の防火壁で、右ふたつのはなしが分かれているので、中央と右のメッセージは反論を受けないのです。この、「反論が横に飛び火しない」という昨日が、ピラミッドの三角形の大きなメリットになります。これによってピラミッドストラクチャは反論に強い、打たれ強いメッセージになるのです。だからこそ、MECEが重要なんですね。

ここで、ちょっと話を変えて、ピラミッド以外の論理展開について考えてみます。「論理的」というと、よく「筋道が立った話」と考えますが、この筋道を絵で表すと、一直線に表すことができます。

004一直線思考.jpg

すじみち型の論理展開の典型的な「悪例」は、日本の有名な寓話、「風が吹けば桶屋が儲かる」です。風が吹くとなぜ桶屋が儲かるか、お話を知っていますか?

風が吹く→砂埃が舞う→目に砂が入る→目病み(眼病)が増える→盲人が増える→職を失い、三味線弾きになる人が増える→三味線の需要が増える→三味線をつくるために、猫を捕る→猫が減るとネズミが増える→ネズミが桶をかじる→桶がだめになる→桶の需要が増える→桶屋が儲かる

という長いストーリーになります。一直線です。でも、よく考えると、こんな話にはならないことがわかりますね。砂埃が舞った具合で眼病患者は増えないし、増えたとしても、失明するほどのことにはならない。となると、そのあとを一生懸命考えても、最初の段階で論理展開が崩されているので、すべてムダになり、結論も否定されてしまうのです。

普通、論理的にあろうとすると、こういう一直線型にしようとストーリーを考えるのですが、この一直線型は1箇所を否定されると、そのあとすべてが崩れてしまい、反論を受けるたびにすべてのロジックを組み替えなければならなくなります。だから、あなたの論理はかんたんに否定され、玉砕されてしまうのです。経験、ありませんか?

では次にいきます。ピラミッドストラクチャはメインメッセージとキーラインというふたつの階層だけでなく、そのしたに、第三、第四の階層が続き、重層的な形を作っていきます。テーマが大きいとか、緻密に説得したい場合など、入れ込む情報も増えるし、細部から全体へ、ていねいに論理構築をしなければ説得力が出ません。

では、キーラインからその下にいくときにも、上と同じように、第三階層の3つのパーツメッセージが独立しているのでしょうか?

005第3階層へ.jpg

もちろん、こういう構造の場合もあります。しかし、すべてこういう構造だと考えると、下に広がるに従って、どんどん無関係の情報が広がり続けてしまいます。第三階層で9個、第四階層で27個、というように、情報が増えても、すべてが独立していなければならないような感じです。

しかし、よく考えてみると、もともとキーラインの部分で、3つ(左、中央、右)が独立いていて、中央の中のパーツ3つは、同じカテゴリーになっているはずです。つまり3つのパーツ(第三階層)は、それぞれ無関係とはいえ、同じカテゴリーという関係があるはずです。「独立」している関係と「すごく独立」している関係というように、なんだか複雑化してきます。このあたりになると、人はうまく考えることができなくなるのです。もっとシンプルに考えたいところです。

実際に考えているときには、実は、この第三階層から下では、独立させるのではなく、「関係をつくって」考えたほうがうまくいくのです。

006ピラミッドと因果関係.jpg

ひとつのキーラインをつくるために、そこに関係する情報を集めておくのですが、この情報の集まりを、「わく組」とか「フレーム」とか「サブイシュー」といいます。どれも同じ意味だと思ってください。図の点線で囲まれた範囲、全体を「箱」としてさす場合は「フレームやわく組という言葉のほうがしっくり来ます。その一方で、ある程度因果関係によって説明が付いてくると、「キーライン」という言葉で代表させてしまった方がしっくり来ます。ですから、「中央のわく組(サブイシュー)」という場合もあれば、「中央のキーライン」という場合もあります。また「キーライン」は、第二階層のメッセージそのものをさす場合もあれば、点線で囲まれた因果関係全体をさす場合もあるので、このあたりの用語はざっくりと使います。

さて、図6を見てもらえばわかるのですが、赤の点線で囲んだ部分は、図4の「風が吹けば桶屋が儲かる」の図にちょっと似ていませんか? 図4では横一直線ですが、図6では、タテに、下から上に矢印が来ていて、矢印が枝分かれしたり、統合したりして、複雑にはなっていますが、おおむね筋道に近い感じです。

その通り、キーラインの下では、図5のようにさらに独立したパーツで考えるのではなく、図6のように、つながりをつけて考えるのです。

このような考え方は、世の中にたくさん出ているピラミッドストラクチャの本にある説明とは少し違うのですが、こう考えた方が、実際上、うまく使いこなし、よいメッセージを打ち出すことができます。つまり、第一・二階層と、第二・三階層以下とでは、頭の使い方がまったく違うのです。

では、第二階層以下の因果関係をどう考えればいいのか。この点はまた次の機会に。

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