(by paco)あけましておめでとうございます、2007年、最初のコミトンです。
今年の年明けは、大きなニュースもあまりなく、天候にも恵まれて、穏やかな正月になりました。僕たち家族は、例年、年末のクリスマス前から六兼屋に来て、年明け10日ぐらいまで、のんびりこっちで過ごします。今週は、久しぶりに冬のデュアルライフについて書きます。
六兼屋には、1年の3分の1ぐらいの日数を過ごしているのですが、やはり夏と冬がまとまっていられる時期で、年によって違いますが、年末年始は3週間近くをこちらで過ごす、長期滞在のタイミングです。
「冬は寒いですよね?」と良く聞かれるのですが、はい、確かに寒いです。六兼屋ができてから(2001年)、東京では薄着になりました。こちらの気温になれていると東京はあまり寒く感じません。もちろん、東京も真冬は寒いですよ、でも以前と比べると、平気になりました。温暖化やヒートアイランドも理由のひとつなんでしょうけど。
ただ、いつも寒いわけではなく、部屋の中はとても暖かです。一番大きいのは、家の構造です。もともと小さな家で、南に間口が広めのシンプルな四角形をしています。南向きの窓をたくさん取り、特に1階のリビングは床から天井近くまである高くて広い窓を付け、すべての窓を厚みのある二重ガラスにしています。これによって、たっぷりの最高と断熱を確保できるわけです。今の時期は日差しが低いので、南の窓から家の北の端まで日差しがはいり、床はいつも日差しで輝いています。温室ような空間になるので、天気さえ良ければ、真冬でも昼間は暖房がいらないのです。朝晩は冷えますが、それでも10時頃になれば日差しあふれる空間になります。
山の家というと、ログハウスや、あるいはヨーロッパの童話に出てくるお菓子の家のような、窓が小さくて壁の厚い家がかわいらしいわけですが、こういう家は日本の冬は寒いのです。日本の冬は気温は低めですが、緯度が低いので日照が欧州と比べて豊富です。欧州では高緯度のため、冬の日照は時間、光量とも期待できません。それなら、熱の逃げる窓は小さめにして、暖房の熱を逃がさないようにと考えるわけです。ちなみに欧州の大都市、パリやロンドンやベルリンは、北海道より北にある位置関係です。日本(本州)は地中海ぐらいの緯度になるし、太平洋側は冬は晴天が多くなるので(山梨も基本的に太平洋側の気候です)、日照を活かす家造りの方がいいのです。
六兼屋の話をすると、薪ストーブのことをよく話すので、ストーブで温かいのだと思う方も多くなっていて、それはそれで事実なのですが、それ以前に日照の方がはるかにたっぷり家を暖めてくれているのです。それゆえ、雪の日や曇りの日は、まきの消費量は2倍から3倍になります。おひさまの分まで木を燃やさないといけないのです。
今の時期、年末年始は、1年で一番日照が少ない時期なので、夕方になるのも速く、だいたい3時半ぐらいには日差しは西の山に沈んでしまいます。日差しが陰ると、ぐんぐん部屋の気温が下がり、おひさまがどれだけ力があるか、実感できます。寒くなってきたら、ガマンしないで薪ストーブに日を入れて、部屋を暖める。冷え込んでいる日でなければ、いったん火を入れてしまえば、まきが燃え尽き加減になるまで放置して、冷え切ってしまう前にあらためて再始動、を繰り返します。ストーブの燃焼温度は、天板においた温度計を目安にして、がんがん燃やして300度、じょじょに燃え尽きていって、100℃を下回るころに、新たな薪を入れます。ただし、このタイミングでは火はほとんど燃え尽きているように見えるぐらいなので、ただまきを入れても火はつかず、焦げてくすぶるだけです。
その時の残り火の状態、部屋にあるまきの太さ、湿り具合などを考えて、段ボールなどもたき付けに使いながら、再始動する。この作業がめんどうでもあるものの、実に知的な作業です。火を見ていること自体、何となく心温まるものですが、そこに[どうやったらうまく火がつけられるのか]という知的な「戦略」と「戦術」が求められます。いったん火がつきかけても、薪の位置を少し動かすと消えてしまったり、もっと燃えたりする。このセンシティブな感じが、僕のオタク心を満足させるわけです。
これをひと晩に3?5回ぐらい繰り返す作業が、薪ストーブと付き合うことなのです。前の薪が良く燃えているうちに、次の薪を入れればいいのですが、これでは部屋は暑くなりすぎ、30度を超えてしまいます。そのぐらい火力があるのです(基本的に薪ストーブ以外の補助暖房は使っていません)。ちなみに、少量の薪を入れ続ければいいじゃないかと思うかもしれませんが、薪ストーブは天板温度で200℃前後以上にならないと安定して燃えないので、100℃で連続運転というわけにはいかないのです。
こうして日照たっぷりの家と薪ストーブで、家の中は至って暖か、出かけるときはすぐにクルマに乗ってしまうので、これもすぐに暖か。寒いのは家の外で何かをするときだけで、でないですませようと思えばすんでしまうです。一番寒さを感じるのは、ショッピングセンターの駐車場から入口まででしょうか。店の中にいられるような薄着で出るので、ほんの30メートル歩くだけでかなり冷え切ってしまうのです。
とはいえ家の中ばかりにいてもおもしろくないし、体もなまるので、出られるときは毎日何かしらで出るようにしています。六兼屋での冬のアウトドアというと、まず、薪割り。エンジンチェーンソーで30センチに玉切りして、薪割り斧で割る。これを1?2時間やれば、からだはぽかぽかです。玉切りした木を積み上げ、積み上げた玉を斧で割り、割った薪をネコ(一輪車)に乗せてデッキの下に運び、積み上げる。単純作業の繰り返しですが、薪は一本ずつ違うので、狙ったとおりに割る、割れた薪をきれいに積み上げる、という作業は意外にパズル的なおもしろさがあるのです。
クルマのメンテ、というか、洗車も、しつこくやります。昔からクルマはきれいになっていないと気が済まないのですが(父からの「遺伝」)、最近はますますエスカレートして、単に泥や汚れないというだけではなく、汚れがつかないような工夫や、それでもついてしまうウォータースポットや細かい傷などを徹底的につかないように、工場から出てきたばかりのように維持するのが、ちょっとした楽しみになっています。雨ざらしの屋根なし車庫なので(六兼屋も東京も)、きれいに吹き上げたりワックスだけでは防げない、カルシウム分などがかまった輪染みができてしまいがちです。これをプロ用のケミカルで削り取ったり、説かしたりしながら、さらにコーティングを行ってつきにくくするのが、今のお楽しみ。きれいになっていてほしいということもあるけれど、「なぜ汚れがつくのか」「どうすれば最小限ですむのか」「どのように管理するのが理想なのか」をあれこれ試しながらやっている感じ。汚すのは自然の力ですから、自然の流れを見極めつつ、自分が望む状態にしておくという点では、ガーデニングと近い感覚なのです。
庭仕事も結構あります。庭の植物たちは休眠期なので、放っておいてもいいのですが、枯れた地上部を刈り取ってすっきりさせたり、落ち葉をとっておくという作業は、いずれにせよ春、新しい芽が出るまでにやっておかなければなりません。春先になって雨が増える以前の、寒い時期にやった方が、植物たちもカラカラなので、作業が楽なのです。といいつつ、今年は一昨日大雪が降って、全部雪の下に埋まってしまいました。根雪になりそうなので、当分庭仕事はできそうもありません。ただ、雪が降る前に、ラベンダーの保温だけはできたので、ほっとしています。ラベンダーは意外に寒さに弱く、-5℃でダメージを受けてしまいます。北海道のラベンダー畑では、雪の下に埋もれるので、保温されるのだそうです。このあたりは雪が少なく、寒風が吹き付けるので、枯れてしまうものもあるのです。そこで今年は、何か保温剤を敷こうと思っていたのですが、稲わらはもう刈り取られてなくなっているし、そうだと思いつき、近くの休耕田から枯れたススキを鎌で切り取ってきました。これをラベンダーの根の回りに敷き詰めたのですが、その直後に雪が降り、うまい具合にそのうえを覆ってくれたので、これで寒さ対策は大丈夫だと思います。ちなみにススキを刈って運んでくるのも手作業ですから、猫にかまを放り込んで押していき、積み上げて押して戻ってくるの繰り返し。ラベンダー20株を覆うのに、4往復です。
今年はたくさん雪が降ったので、久しぶりに雪かきもしました。
http://pacolog.cocolog-nifty.com/maruyama/2007/01/post_c7a8.html
http://pacolog.cocolog-nifty.com/maruyama/2007/01/17_4e76.html
少量なら放置しておけばいいのですが、今回の雪は、根雪になりそうだったので、凍り付いてしまう前にと、必死に雪かきしました。六兼屋のあたりで冬に活動しているのはうちだけだし、別荘地帯に橋の雪かきも来てくれないので、田んぼの向こう側まで、300メートルのうち、融けにくい場所や坂道など、100メートルは自分でやらなければなりません。娘は雪が降ると大喜びしていますが、僕は雪かきを考えると憂鬱です(雪解けはクルマも汚れるし)。一面白くなり、きれいなのは大好きなんですけどね。特に、雪が降った話の中に落ちる月明かりは、本当に美しい。満月近くの月光で照らされる林ほど、幻想的なものはありません。
と、カントリーな生活のことだけ書きましたが、仕事だとか、デジタルな都会的なことも、実はたくさんしています。これについては、また機会を改めたいと思います。あと数日手六兼屋はいったん閉じて、東京ライフです。久しぶりの東京が恋しい今日この頃。
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