(by paco)2日間にわたって行われたあすか会議の、day1の第2セッションは、「環境」「キャリア」「スポーツ」の各部課に分かれて行われました。
pacoは当然のごとく「環境」を選択。今年のあすか会議は、山梨県小淵沢のリゾナーレで行われたのですが、経営は日本トップの環境経営リゾートの、星野リゾート(株)ということで、リゾナーレで実際にやっている環境経営を現場で見て体験しようというセッションを行いました。一部で押しかけキュレータをしながら、事前申し込みをすませた30人ほどの参加者と、わいわいと楽しみました。
この分科会は、実際の見学ということと、僕自身、星野リゾートの環境経営については以前からずっと取材してきたので、特に目新しいことはなく、まとまったことを書くのはいささか面倒なので(いろいろな場所で書いてきたし)、ひとまず、こちらの資料を見ていただくことで、星野リゾートの環境経営の基本的な考えは理解してもらうことにしましょう。
pacoが書いたぼらんたーるの記事(PDF 9MB)
去年のあすか会議
星野リゾートの環境セクターの若きリーダー塩手さんのブログ
さて、実際のセッションでは、まず、星野社長が早口で環境経営の考え方を説明。「リゾート運営の達人」という事業コンセプトのもと、「経常利益率20%」「高い顧客満足度」「高い環境/地域保全度」という3つの柱を紹介してくれました。特に「顧客満足を犠牲にした利益追求はしない」「利益を犠牲にした環境追及はいしない」「顧客満足を犠牲にした環境追及はしない」など、アンビバレンスを解決するための経営の考え方まで含めて、提示され、コンセプチュアルに、原理原則に基づいて、環境経営に取り組んでいることがわかります。
その後、若い二人の女性社員(入社2年目)から、現場でどんな取り組みをやっているかの紹介を受けてから、さっそく、現場へ。
まず、ゴミの分別。ふだんは入ることができないリゾートのバックヤードで、集めてあるゴミを分別を体験。20を超える分別を学ぶために、リゾナーレ専用のパソコン用分別ゲームソフトも用意されて、これがけっこう難しい。次々と出てくるゴミの写真(ペットボトルとか、ワインビン、漂白剤の空きボトルとか)を、マウスで適切な分類に入れられるまで、ゴミの写真が消えてくれないので、みんなけっこう集中してました。
ゴミの分別体験では、ゴムてぶくろを受け取り、ポリ袋にひとつひとつ分類した上で、計量コーナーにいって重量計に載せ、バーコードをスキャンすることで分別を入力、マウスでPCをクリックしてから、実際のストックヤードに入れてくると言うもの。単純だけれど、実際に計量まで経験すると、非常に緻密にデータがとられていることがわかります。ペットボトルを袋に半分ほど入れても、0.75kgという具合で、それぞれどの部署からの排出か、まで入力していくので、そのデータを分析することで、対策も見えて来るという、基本がしっかりできていることがわかります。僕は10年近く前から塩手さんからこの活動の話を聞いていて、原始的なところからここまで来たと言うことがわかるので、その積み重ねにけっこうすごみを感じるのでした。
最初は体重計に乗せて計り、紙に記入、塩手さんが自分でPCに入力するところから始めたということ、その後、電子計測器を買い、古いPCにつないで入力を少し楽にしたり、という細かな積み重ねをしながら、ここまで来ているわけですが、こういう歴史は、入社2年目の担当社員より僕の方が知っていたりして、補足のお手伝いをしました。
その後、バイオディーゼル燃料のマクロバスに分乗し、15分ぐらい離れたリゾナーレの農園へ。地元から借りているものということですが、あとで星野社長に聞いたところ、「眺めがいいからここに決めた」と笑ってました。釜無川の深い谷が木々の間から見え、その向こうに南アルプスがそびえている、とても眺めのいい丘です。
ここでスタッフがワインタワーとナスのマリネをつくって待っていてくれました。真夏の暑さの中、農園で味わうワインにごきげんの参加者は、そのあと、今年から作り始めたというナスやミニトマトなどを見て、「ふむふむ」。女性社員が長靴を履き、「ふだんは接客をしてますが、週1?2回、交代で畑に来て、作業をしてます」とにっこりしてました。楽しそう。
フロントやアトラクションのコーナーでにっこり接客してくれるおねえさんが、時に畑を耕し、収穫し、それが売店で買えたり、ディナーに出たりする。その野菜を作るたい肥は、ホテルから出たくず野菜をたい肥にしたもの、という循環をつくろうとしているところに、星野リゾートの環境経営の深まりを見ることができます。
受講者の満足度はかなり高いようでしたが、それが、ふだんはあまり見ることがない環境経営の現場を見られたからなのか、青空の下でワインをもらったからなのか、についてはコメントしないことにしましょう。
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