(by paco)258過疎地の実際と未来

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(by paco)総務省過疎対策室からの依頼で、交流居住という政策の立案と実施に協力しているという話は、以前、こちらに書きました。

この交流居住に関する仕事はその後も続いていて、少しずつ形になり始めています。研究委員になって3年目になりますが、今年は、総務省の政策の一環で、交流居住についての情報を各自治体が発信するためのポータルサイトが作られ、程なくカットオーバーと言うところまで来ました。昨年度の研究委員会でなこのポータルサイトの有効性を確認する議論と、そこに実際にどんな機能をつければいいのかを議論し、その結果が反映されたサイトが「器」として仕上がってきました。

この委員会では、メインの研究委員として、大学で専門的に研究している方が2名、過疎自治体の首長の代表として、昨年度は沖縄県東村(ひがしそん)村長、島根県江津市で現地の情報発信や移住の情報発信などさまざま活動をしているかわべまゆみさん(この人がものすごくパワフルなのだ)、そして僕が入って、主に5人ぐらいで議論してきました(他に、各種関係団体からオブザーバーが入っている)。

なんでpacoが?という疑問も僕自身湧いているのですが、第一に僕が交流居住の実践者であり、第二にグロービスでのクラスや企業研修などを通じて、東京の多くのビジネスパースンに接し、都市生活者の現実よく知っていること(グロービスの受講生にも意外に田舎志向は強い)、第三に過疎問題など込み入った問題をロジカルシンキングを使って構造化することができること、第四にインターネットでさまざまな活動を行ってきて、ネットでの情報発信やユーザーの動きに実感値があること、というあたりが、呼ばれている理由なのでした。こうして整理してみると、この交流居住研究会にとって僕のような存在は意外に貴重なのではないかという気がしてきました。

実際のところ、この研究会はとても実質的でフランクな討議がされていて、基本的なフレームを用意するために入ってくれているスタッフ(財団法人日本交通公社)の準備がいいこともあって、僕ら委員も実際に効果のある議論ができています。

たとえば、ポータルサイトの基本設計では、スタッフは素案を出してくれているので、それをベースに、「多くても3階層までで詳細情報にたどり着けるように」とか、「メニューにこの言葉はわかりにくいから、この言い方にしよう」、最後には「このイラストは、もっと若い感じにして、女性も入れて」というような細部にまで議論ができました。

サイトの運用に関しても、すべての自治体に使ってもらおうとせず、むしろハードルをあげて、「サイトの情報の更新ができる自治体」「交流居住について適切な政策が打てる自治体」「NPOなどの参加も受け入れたい」「参加自治体の担当者を圧得て研修を行うなど、担い手の人材育成をしよう」など条件をつけようという意見も出して、それを反映させることができました。

もちろん、もっといいものを、とか、これが行政がやる限界だよな、と思う部分もなくはないのですが、別の言い方をすれば行政がやるものなら、こういうもの、というイメージを利用者も持っているし、そういうお約束が信頼感につながるところもあるのでしょう。たとえば、同じコンセプトで民間がやるなら、イメージキャラクタを起用したり、TV番組やアニメ(たとえばスタジオジブリとか)とタイアップするとか、というようなことも、ねらえるはずですが、それはそれで「これって本当に行政がやっているの?」という不信感につながる可能性もあります。目立つことも重要ですが、民間と同じことをやればいいというものではないでしょう。そういう意味も含めて、今回はバランスのいいものになったのではないかと思います。

そういう中で、自分の町や村で交流居住を地域活性化のために使ってみようという自治体に集まってもらい、勉強会を開くことになりました。これも研究会での提案がきっかけになっています。先週、6月6・7日の2日間、大手町のJAビルに集まったのは100を超える自治体の職員の方々で、その中で僕も1時間枠をもらい、「交流居住のフレームワーク」というテーマで話をしてきました。終了後の交流会でも多くの自治体の方と話をすることができ、こういう新しい動きで日本という国の形が少し変わるといいなあと気持ちを新たにしました。

僕自身は、交流居住の人口が爆発的に増えるとまでは思っていないのですが、僕自身の仕事のフレームとしては、「ライフデザイン」のくくりで考えていて、田舎での生活を望む人が、それほど苦労なく、好みの田舎を探し、それぞれのスタイルで楽しみ、QOLを高めてもらえればと思っています。

サイトのカットオーバーまで後数か月ありますが、オープンのタイミングで、またご案内します。

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