(by paco)257デュアルライフの6年目

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(by paco)たまには六兼屋の話を書きましょう。

六兼屋ができたのは21世紀の冒頭、2001年1月でした。今、ちょうど6回目の初夏を迎えています。丸5年経過して、六兼屋、特に庭のようすは激変しました。「開拓」時代をようやく終えて、楽しめるガーデンに変わってきた感じています。ようやく、「こういうものがほしかった」ものが、形になってきました。

六兼屋についてはずっと書き続けていたのですが、けっこう前の話になるので、最近の読者や、六兼屋ってどんなところだったんだっけという方はこちらのバックナンバーページから、右の真ん中あたりの「Dライフ」と書いてある記事を見てください。

P6160046.JPGP1100453.JPG5年前、六兼屋の庭は、庭と呼べるようなものではなく、単なる「荒れ地」でした。もともとこの土地はヒノキの林で、手入れが悪くてうっそうとしていたものの、地面には枯葉が落ちてふかふかしていて、土はそれほど悪くない感じでした。家を建てる場所を空けなければならないし、僕らが好きな雑木を植えようと思っていたので、家を建てる前にヒノキはいったん全部切って根を抜いてもらい、整地したのですが、さらちになってみたら土地はひどい状態で、重機のキャタピラのあとでデコボコになり、粘土つちがばきばきにかたまって、園芸用のシャベルなんかじゃまったく歯が立たず、無理に土を掘るとかんたんに曲がってしまうのでした。これはけっこうショックでした、庭を造りたかったので、つちが悪い土地は選ばなかったのです。

ともあれ、いまさらやめるわけにもいかないし、持ち前の楽天気質で、土ぐらいなんとかなるさと思っていたわけです。

家が建ち、いざ庭を初めて見ると、土がないと植物は何もほとんど育たないのだと言うことに改めて気がつかされました。まいた種は芽が出ないし、苗を植えても、雨が降ると、苗の根本が水槽状態になって水がたまって根が腐ってしまいます。粘土つちなので、まわりを掘って少しぐらいいい土を入れても、地面にかめを入れて苗を植えているようなものなのです。晴天が続けば地面は固く閉まり、今度は植物は水涸れで育ちません。秋の初めに植えた植物は冬になると霜柱でみな押し上げられて抜けてしまいました。

そんな中で、最初に根が付いたクローバーを育て、一面のクローバー畑にしたり、中国産のそば殻(大きなジュートの袋入りで500円で買える)をまいて、粘土つちと混ぜて水はけと保水力のバランスをとったり。雑草も育たなかったところに雑草が来て「緑になるとほっとするね」と話したのもつかの間、今度は雑草ばかりになって何を植えても雑草に食われてしまう始末。雑草が生えないように、歩く道を丸太をしいてつくってみると、丸太のすきまに雑草がはえてかえって抜きづらくなるし、無理に抜くとせっかく敷いた丸太がずれてしまう。冬になると霜柱や土ネズミが丸太を持ち上げてぼこぼこにしてしまうこともありました。人里に近いこんな場所なのに、自然を自分の思うようにすることがどんなに困難か、人間の力がどのぐらい無力かを実感したのが、最初の3年間でした。

それでもじょじょに人間の努力が実を結び始めて、土が少しずつ良くなっていきました。草を刈り、微生物が分解し、そば殻を入れたり、買ってきた園芸用の土を入れて、少しずつ表土ができてくると、苗が育ち始めたのです。どんな場所にどんな植物が育つかもわかってきて、場所に合うものを要所要所に植えることで庭らしくなってきました。

木も育ってきました。最初は、葉の茂ったものを植えてもすぐにはが落ちてしまって、枯れ木のようになっていたのが、2年目には少し新しい枝が出ました。もともとあった枝は枯れて、その場所に移してから出てきた枝の方が生長力があることもありました。ひょろひょろで危ぶんでいた木が、今では太いもので直径20センチを超えるほどになり、高さはいつの間に5メートル以上に育って、隣地の家が見なくなってきています。

植物の世代交代も始まっています。最初に植えた苗が枯れてきて、その横から新たに出てきた株が力をつけたり、一度植えた場所では育たないものが、根から抜いて場所を移すと育つものも出てきました。

そして今年、5?6月は六兼屋の初夏、いちばん植物たちがげんきがいい季節です。こぼれ種で増えたマーガレットがあちこちで白い花を咲かせ、今年植えたポピーの花が風に揺れ、丹精したバラの株たちが、今年はたっぷりつぼみをつけて、あと少しで満開です。たった一株から増やしたタイムは、ここ3年間の必死の努力が実って、庭一面のグランドカバーになり、芝生のようになっています。寝転がると、タイムのさわやかな香りがからだを包んで、見上げるとケヤキの枝と昼間の半月が青空に浮かんでいます。一時隆盛を誇ったラベンダーが、寒さにやられて元気がないのは残念ですが、新しい苗も植えて、来年はたくさん咲かせなくちゃ。

去年からつくっている「小川」に水が流れて、小さな池にはアメンボ。あたりにはカエルとカナヘビ、トカゲがたくさんいます。

IMGP2495.JPGそして今年、ついにシジュウカラが営巣し、ヒナが孵りました。まだ孵って間もないと思っていたら、今日はもう羽が生え替わりはじめ、芯の固そうなおとなのは根が生えているのが見えますか? 親鳥はせっせと芋虫なんかを捕っては運んでいます。ヒナが孵るまではパパが巣の中のママに食べ物をもってきて、一度はいると数分間出てこない出会いを深めていたのですが、今は入ってもすぐに出てきて、次のえさを探しに行きます。大忙しです。

350坪ほどの、庭としては結構広い地面がここまで豊かになったんだなあと、喜びを噛みしめる時間が、今年、ようやく持てるようになりました。ベンチに座り、あるいはガゼボ(あずまや)でくつろいで、暮れていく夕日を見ながら、冷たいハーブティを飲む(ビールは飲まない人なので)。これがちょっとしたあこがれで、ここ5年、必死に庭造りをしてきたのですが、ようやくそれが実現した感じです。

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