(by paco)256「アルバイトで仕事」をどう考えるか

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(by paco)今週のテーマは、アルバイトです。コミトンの読者は、いわゆる正社員で働いているか、自分で独立して仕事をしている人が多いかもしれませんが、世の中を見回すと、雇用の中心は製しゃんからアルバイトや契約社員など、不定期雇用に移っています。以前はフリーターという、アルバイトで働く人たちは「定職に就かない人々」という点で、個人の考え方に疑問を投げかける見方や、社会的な雇用システムを変えなくてはと考えるなど、いずれにしても「できれば減らしたい、なんとかしたい」というニュアンスが強かったと思います。

でも、現実には、正社員以外の雇用形態で働く人は確実に増え続け、採用全体では、企業から見てもワーカーから見ても、なくてはならないものになっています。「フリーターの増加」を心配する人も、自分の会社がアルバイトや派遣など、正社員以外の雇用者がいなければ、動かないことを知っているはずです。

最近の調査では、企業の側は、アルバイターに期待することと正社員に期待することに、基本的な違いはないという結果が出ています。特に地方の中堅企業では、アルバイターに商品開発や市場開拓を任せるということも珍しくなく、企業からの期待感は高まるばかりです。

確かにアルバイトの中には、より高度な仕事やマネジメント階層への仕事のグレードアップなど、まったく織り込んでいない作業員的なものもたくさんあります。でもそれと同時に、将来はさまざまな発展の余地があるアルバイト採用も、多くなってきているのです。

そういった「活躍」を期待している企業も、実際の採用段階では「飲食店のフロアスタッフ(接客)」や「倉庫での積み替え作業」というように、作業的な仕事に限定した募集をしています。表向きは、アルバイトは昔から変らないアルバイトとして募集されているのです。では「正社員への登用有り」という文言をアルバイト情報誌に掲載すると、よりよい人材が採れるかというと、そうではありません。正社員を臭わすと、募集してくる人の年齢が30代後半以上になり、また生活に困っていたり、家族との生活が優先で残業に対応できないなど、企業が求める人材とは異なる人が集まってしまうのです。ワーカーの側も、正社員という言葉に、以前からの安定や落ち着きのイメージを持っていて、現場で一生懸命に働く「活きのよさ」や、そういう現場のペースメイキングをするという意味でのマネジメントの仕事を思い浮かべなくなっているようです。逆に言えば、働く側も、アルバイトと正社員の違いや正社員という仕事に持つイメージの理解が、どうもうまくつくれなくなってる時代といえそうです。

さて、そういうアルバイト雇用の状況が、ライフデザインというテーマとどう関係があるのかということになるわけですが、ライフデザインを進める上で、一時的にアルバイトで働くという選択をする、というシチュエーションが十分あり得るのです。

ピアノ弾き語りの女性ボーカリスト、アンジェラ・アキは、デビュー前、ワシントンのファーストフード店でウェイトレスとをやっていたと話していました。
http://www.j-wave.co.jp/original/worldaircurrent/
2ドルちょっとの時給というので、250円ぐらい。愛想を振りまいてチップを稼いでしのぎつつ、ライブ活動をしながらデビューをめざすというものだったようです。それ以前、政治学を学んでいた彼女は、大学卒業後、就職して秘書を数か月やっていたわけですが、秘書をやっていては音楽ができないと思い立ち、やめて、ウェイトレスのバイトをしながら音楽をめざしたわけです。

僕が今Life Design Dialogueをやっている女性は、自らの意思と幸運が出会って、程なく会社を辞めて、小さな店でアルバイトをしながら、やりたい方向に進むことになりました。アルバイト先での仕事が、自分の方向性と一致するということで、あたらしい一歩になりそうです。

こういう局面では、普通のアルバイトは時給も安いし(今、地方都市では時給700?800円が普通の相場)、地位も低く、正社員をやめてまでアルバイトに移り、ライフデザインをするべきなのかという迷いもあると思います。そして、アルバイトをしてでもライフデザインを進めるべきだと、進めるつもりもありません。

ただ、その一方で、アルバイトと一口に言っても、仕事の内容から企業からの期待、時給まで含めて、とても一口では言えないほど多様化しているのは間違いないという状況になっています。作業員としてだけの採用もあれば、「本当はこういう仕事までしてほしい」という期待が裏にある採用もあるし、アルバイターの側が「このようにやりたい」と提案し、受け入れられてハッピーという場合もあります。

ライフデザインの過程で、「アルバイトをして食いつなぐのかな」という局面になっても、イメージにとらわれず、アルバイトで道を開くことも不可能ではありません。今の時代のアルバイトは、とても一口では言えないぐらい、多様化している、と同時に、その多様性はバイト情報誌には出ていなくて、足で稼ぐように出会いを求める必要がある、という状況になっているのです。

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