(by paco) ユダヤ人って何?

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(by paco) 最近の僕のイシューは、ユダヤ人ってなんだろう、ということ。

なんで、今ユダヤ人?なのかというと、もちろん突然出てきた話ではなく、これまで僕が、自分の問題意識として考えてきたことの延長上に「ユダヤ人」というイシューが浮かび上がってきたというか、むしろ、ユダヤ人についての理解を深めないと、これまで考えてきたことが不十分なままに終わってしまうと言うことに気づき、このところ集中して本を読んでいます。

9.11テロ以後、国際問題について特に深く考えてきているのは、コミトンの読者の皆さんはよくご存知と思います。その中で、9.11事件について、直接間接にユダヤ人が登場します。9.11テロの当日、ワールド・トレード・センタービルに勤務するユダヤ人には「出勤におよばず」のメールが事前に飛んでいた、というようなまことしやかな話から始まって、その後のイラク戦争はイスラエルが裏でしかけてことだというような説とか、僕に米国の政治経済の中枢にイスラエル(ユダヤ人)が居座っていることが、今の世界の動きを決定づけているという言説に、あちこちで出会うのです。これは国際政治の側面からの話。

もうひとつ、僕のライフワークである環境問題にも、ユダヤ人問題はけっこう大きく影響があります。環境問題のコアのひとつである「地球温暖化問題」は、主に石油の消費が拡大することによって起きていると言われています。その石油資源は中東に偏って存在していて、その中東の情勢が現在のようになっていることにはイスラエルの存在が非常に大きい。石油消費が今後どうなるのかということと、イスラエル(ユダヤ人)は、密接な関係があります。

ではユダヤ人がなぜ今、世界の大きな問題にたびたび登場するのかと言えば、直接的にはドイツのナチスによるユダヤ人迫害という事件があり、その迫害がきっかけになって、ユダヤ人が「自分たちの国をつくろう」というシオニズムの原理が説得力を持つようになり、イスラエルが建国され、代わってそこに住んでいたアラブ人が押しのけられ(パレスチナ問題)、アラブ世界の中でイスラエルが存在していくために、米国を動かすロビー活動や、米国の経済の根っこである石油資源の利権の確保にイスラエルが大きな影響力を持ったりというように、今の世界への影響がつながっていると考えられる、というが見えてきました。

そんなわけで、政治面、経済面、環境面の、どれをとっても現代史を動かした大きな影響力としてユダヤ人をよく知る必要があると考えられるのです。

では、ユダヤ人とは何か。定義からして、今ひとつハッキリとしないのですが、民族(地縁or血縁)なのか、宗教の信徒集団なのか、経済集団なのか、明確な定義がなく、すっきりわかる本がないのにもちょっと驚きました。

ユダヤ人は民族なのかと言えば、まずNOです。民族の定義も難しいのですが、まず生活する地域が固有ではなく、中東から欧州にかけて広く生活していることで、いわゆる溝くの条件からずれてしまいます。言語も、ヘブライ語を話しているというわけではなく、すんでいる土地の言葉、あるいはそれとヘブライ語の合成語を使っている人が多く、ロンドンに住むユダヤ人は英語、パリのユダヤ人はフランス語を話すのです。そもそも旧約聖書自体が、早くからギリシャ語訳され、ヘブライ語よりギリシャ語が中心だったということからもわかるとおり、ヘブライ語は必ずしもユダヤ人を決める記号ではないのです。

宗教の信徒集団かというと、ほぼyesなのですが、NOでもある。というのは、イスラム教もキリスト教も、洗礼を受ければ、どこにいるどんな民族出身者でも信徒になることができます。しかしユダヤ教は洗礼を受ければユダヤ教徒に離れるかもしれませんが、ユダヤ人には慣れないのです。

ユダヤ人とは、旧約聖書を信じ、数ある戒律をかたくなに守り、安息日を休み、偶像を崇拝せず、割礼を施された人、ということのようです。血筋は、母親がユダヤ人であること、というような条件があるようですが、これがハッキリしない。イスラム教徒やキリスト教徒との結婚も珍しくない中で、ユダヤ人としてのアイデンティティをどう守っているのか、まだまだ勉強中です。

ただわりとはっきりしているのは、ユダヤ人は非常に旧約聖書とユダヤの習慣を非常に頑固に守っている人たちだということ。キリスト教でもイスラム教でも、内部で宗派があり、厳格さや教義にバリエーションがあるのにたいして、ユダヤ人は住む地域も言葉もバラバラ、人口も多いとはいえないのに、派閥に分かれることなく、地域の宗教や習慣に染まることもなく、どこにいてもユダヤ人としてのアイデンティティを守ってきたことだけは、確かです。

そのこだわりが、周囲に住む人々と「混じらない」という特性になり、しばしば嫌われ者になり、その最大の事例がナチス・ドイツのホロコーストなのだということ、またユダヤ人を抹殺しようとしたのはナチスだけでなく、ロシアをはじめ、さまざまな地域であったこと、など、知るほどに不思議なことが多いので、興味が尽きません。

ひとつちょっと驚いたのが、ヒトラーの言葉。ヒトラーが第二次大戦中、米国が参戦したことを知って衝撃を受けつつも、こんな趣旨のことをいっています。「米国が参戦してユダヤ人を助けることは、米国自身がユダヤという病魔に冒されるということを意味するだろう」。

その時点から70年近くたち、ヒトラーの言葉が少しだけ真実みを帯びているように感じられるようになってきました。米国中枢にイスラエルが入り込んだ結果、米国は今やイラクに足を取られ、世界から孤立して、身動きがとれずに衰退するのだと、もヒトラーが生きていたら、いったかもしれません。それが「ユダヤ人の個人個人」の責任に帰せられることはないにせよ、精神異常者ヒトラーの人の言といって切り捨てきれない示唆を含んでいるように思います。

ユダヤ人関係の入門書があれば、ぜひ教えてください。

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