(by paco)NPO法人の環境リレーションズ研究所で、毎月1回、AIRミーティングという会を開いています。環境リレーションズ研究所の一般市民向けの情報提供活動のひとつなのですが、環境問題やその解決策への理解を深めてもらうのが目的です。
先週、12月のAIRミーティングがあったのですが、テーマは「アグロフォレストリによる有機農産物栽培」でした。アグロフォレストリとは、樹木との草質の植物を密生させて栽培し、自然の持つ潜在力を高めて、自然を守りながら農業生産を行う方法です。
1960?70年代に、世界各国、特に熱帯夜亜熱帯の途上国で、「緑の革命」が盛んに推進されました。特に熱帯地域では、自然林は役に立たないものと見なされ、どんどん切られていきました。伐採あとには商品作物の単一品種が植えられ、そこに大量の農薬や化学肥料を与えることで、商品作物の生産性を上げて、輸出作物にしようとしたのです。これをプランテーションと呼び、コーヒー、ヤシ、パイナップルなどの果実、バナナなどが好んで植えられたのです。
最初はうまく行きました。生産性は上がり、輸出できる作物がたくさんとれ、現地の住民は、先進国の資本のもとで開かれた大規模なプランテーションで、労働者として働き、経済力をつけ始めました。
しかし、10?20年とたつうちに、単一栽培の弊害が起きます。化学肥料に頼ったことで地力が落ち、次第に生産性が落ちてきました。投入する肥料や農薬の量は次第に増えていくモノの、生産性は頭打ちから減少に転じていきました。
このような中で新たな取り組みとして生まれたのが、アグロフォレストリ(森林農法)で、地域にあった複数の植物を植え、相互補完ができるように考えたのです。まず成長が早く、大きなハデ日陰をつくるバナナを植え、実を収穫して食べ、一部は輸出に回しました。大きな葉が影をつくると、その下にコーヒーなど、日陰で育つ植物や、豆や芋などの食糧になる植物を植えていきます。複数の植物を特性に合わせて植えることで、自然に近い生態系が実現し、それぞれが成長を助け合ったりしながら(結果的に、農薬も化学肥料もほとんど必要なくなります)、必要な作物を住民に提供するのが、アグロフォレストリです。
AIRミーティングでは、「素敵な宇宙船地球号」の「エクアドルのバナナ栽培」と「コーヒー栽培」の回を見てから、アグロフォレストリのしくみや、そこでとれた作物が日本にも届き、手にはいるようになっていることなどを説明しつつ、話し合いました。参加したメンバーからは、コスト的に見合うのか、値段が高くても買う人がいるのか、などの質問がでて来ました。今回は学生を始め、独身の参加者ばかりだったので、食べ物を買うときの実感が持てないようでしたが、環境を守るとはどういうことか、それがビジネスになるとどういう形になり、誰画素の消費者になるのかといったことの、ひとつの側面はわかってもらえたと思います。
来年1月からも引き続き、毎月1回のペースで続けていくので、ぜひ気軽に遊びに来てください。今のところ、毎回3?8人ぐらいのこぢんまりとした感じでやっているので、当日でも連絡をもらえれば、たぶんは入れます。
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