(by paco)242 行かない方がいい方向を示す

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(by paco)前回、dialogueではまず話を聞くと書きました。これはいわゆるコーチングの基本になりますが、もちろん聞くだけではありません。

次に僕が気をつけていることは、相談者が話すこと、やろうとしていること、やったことの中かから、その人が行くといいだろうなと思う方向を選び出して示し、行かないほうがいいと思う方向を「やめておいたら?」と示すことです。

「こっちがいいかも」と示す道は、なるべくその人が楽しめそうな道を探してあげること。未知の領域だったり、ワクワクしたり、自分の成長を楽しめたり(多少厳しいかもしれないけど)、というような道です。お金になるかどうかという点では遠いかもしれないけれど、おもしろがれそうな道。それをやることによって自分の考えが見えてきそうな道。その道が自分にとって将来につながる道だと思えるかどうか、というより、「その道は違う!」と確信が持てそうな道というのもよい選択として示します。一人でやるより、誰か、同好の士と出会い、つながりができそうな道もよい道です。お金の流れを見に行くためのアクションも、よいアクションです。本のことを仕事にしたい場合は、書店や出版社でアルバイトをして、業界のお金の流れを見ておくことはオススメです。

逆に「やめておいたら?」とアドバイスするのが、「わかりやすい道」です。すぐにお金になりそうな資格ととるとか、この分野ならこれ!とみんなが言いそうな勉強をする、といったことは、あまり勧めません。たとえばデザイン関係に興味があるからといってすぐにデザイン専門学校にいっても、あまりうまく行きません。目的の分野の会社にいきなり転職するというのも、あまりいい方法ではありません。やりたい分野ですぐにお金になるようなことも、やめた方がいいとアドバイスします。お金を得られるようになると、お金を受け取ることで満足してしまうことが多いのです。一見遠回りに見えるような道を選び、らせんを描くように目的の場所にたどり着くように道を選ぶのがポイントです。

もちろん、ここで示した例は、あくまでも一般論に過ぎません。dialogueという方法をとるのは、個人ごとの状況に合わせて最適な選択肢をアドバイスしたいからであって、一般論とは逆ののアドバイスになることもあるのです。

たとえば、いろいろなデザインについての知識や、こういうものをやってみたいという具体的なイメージが固まりすぎているのだけれど、ビジネスとしての現実味がないという場合は、あえてふつうのデザイン事務所で働くというアドバイスをすることもあります。僕は基本的に現場重視のアドバイスをするのですが、若い人の場合、逆にマネジメントに早く着くようにアドバイスをすることもあります。個々の人の性格やこれまでのキャリア、熱意やゴールへの距離感など、さまざまな情報を総合して、個別の対応をしていきたいので、dialogueという形をとっているのです。

「これをやってみたら?」という方向付けをしたら、方向付けだけでなく、実際に何をするのか、相談します。どこかに行ってみるなら、具体的にどこに行くのか。行き先の候補がわからないときは、候補の探し方も一緒に考えます。「こんなところを見に行きたいのに、どこかわからない」という場合は、「誰がその行き先を教えてくれるのか」を考え、「教えてくれる人を探してみて」と話します。そのうえで「教えてほしいと依頼メールを出して、ようすを見よう」というように次のステップを設定するのです。

著書「35歳からは?」で「ゆっくりやる」というコンセプトを提示しましたが、この場合のゆっくりは、ただ時間に身をまかせることではありません。どこに行くか、どこに行くかを誰が知っているか、その人とどうやって出会うか、どうやって口説くかといったことをていねいにステップを踏もうとすると、目的のために常に何かをやり続けていても、結果的に時間がかかってしまうということなのです。

dialogueでは自分の道をていねいに探すにはどうしたらいいか、よりていねいな道を一緒に見つけていくことが大事なねらいになっています。

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