(by paco)前に投げかけたテーマについて、ikeoさんからメールをもらいました。ikeoさん、ありがとうございます。
以前、だいぶ前ですが、生活保護のケースワーカーの部署にいて、行路人という人達がうちらのような田舎でも通過していき、ホームレスの問題に関心を持っています。 寿ことぶき、以前パコさんに紹介したかな、という音楽グループ(2人ですが)も支援しているようです。 人間だからホームレスの人って様々な人です。よく生活保護の仕事のとき、今も市営住宅の仕事なのでよく似たことは言われますが、「パチンコして怠けている者になんでお金をやるんや」。事実そう言うことはあると思います。 でも私は基本的に働ける条件がありながら自分から働く意欲のない人達にどうしたら意欲を持ってもらえるかは難しい問題だと思ってます。障害者自立支援法が成立しましたが、障害者が働く場所なんか全くないというのが現状ですしね。 そんなこんなで公園の問題もどこに行ってもらうかを解決しないとどうしようもないでしょう。(ikeo)
東京都には約4500人ほどのホームレスがいるらしいのですが、多くは墨田公園など、公共の空間にチープな家をこしらえて生活しています。東京都は数年前から、自立支援のためにアパートを格安で提供したり、仕事の斡旋をしているのですが、その施策で自立できた人はあまり多くないようです。アパートの提供期間は6か月、その間に定職が見つかる可能性は低く、見つかっても長期雇用とはなかなかいかない。結局また公園の生活に戻らざるを得ない人が多いという話を、ホームレスの炊き出しボランティアのリーダーが話していました。
ホームレスの人たちを、「働く意欲のない、社会の落伍者」と考える人も多く、実際、そういう人も中にはいるのでしょうが、炊き出しボランティアのリーダーの話によると、大半は働く意欲は高いそうです。
今、日本では、固定電話と住所を持たない人は、就職するのはほとんど不可能です。履歴書にも書けませんから。しかし、固定電話と住所を失うのは、意外に簡単です。普通の会社員であっても、リストラでクビになったり、ケガや病気で長期療養が必要になって働けなくなると、早晩会社を辞めざるを得なくなる。失業保険などの保証はあるにしても、いつまでももらえるわけではないし、就業期間によってはわずかしかもらえない。ともに支えてくれる家族がいればまだいいのかもしれませんが、未婚だったり、離婚されてしまうと、社会保障が切れ、貯金が終わると、家賃の支払いにも困る状況になってしまいます。電話は一番先に止められるし、アパートも何か月も滞納できません。仕方なく、荷物をまとめてアパートを出たら、もう公園しか行くところはないのです。こんな風にして、公園暮らしを始めた人が、4500人の中のかなりの部分を占めるということでした。
いったんホームレスになれば、そのままの状態ではまともな就職はまず無理だし、就職できなければ公園暮らしから抜け出ることができない。誰にでもできる日雇いなどの仕事は、外国人労働者が多くなっていて、中年以後の日本人には仕事が回ってこないというのもあるようです。
一方で、生活保護の支給の実態を見ると、資産を隠して、もらえるものはもらってやれという態度の人もいるのだとか。
まじめな人ほどホームレスになり、ずうずうしい人が生活保護を受ける、と単純に決めつける人もいるほどですが、それはそれで、危険なレッテル張りです。
こうした中、石原都知事は、公園からのホームレスの「追い出し」を行う条例を議会にかけています。もう十分手を打ったので、残っている人は「働く意欲のないやつ」という考えだと受け止められていますが、実際そういうことなのかもしれません。
景気が悪いからだ、国の経済政策の失敗だ、など、原因を追及することも大事かもしれませんが、僕はそれ以前に、「ホームレスの人たちも人間であり、僕らはかららとも一緒に生きている」ということから出発してほしいと思っています。残念ながら僕は関与していないのですが、ボランティアでホームレスを支援している人も多いし、彼らを通じて、ホームレスの人たちが何を望んでいるのか、本当に役立つ自立支援をつくるべきでしょう。なぜ彼らだけにそんなに手をさしのべるのか、自己責任ではないかという人もいるかもしれませんが、そうでしょうか。
ホームレスになったことについては彼らにも責任があるとしても、立ち直れない構造の中に落ち込んでいるのなら、手をさしのべない限り、自分の足で立つこともできません。足を骨折した人が立ち上がるためには、まずギブスをして、松葉杖を渡さなければならないのです。適切なギブスと松葉杖とはどんなもの?という議論はしっかりしなければならないでしょうが、ただ追い出すことからは、自立は生まれないし、それでホームレスの人たちが社会からいなくなるわけではありません。
もちろん、読者であるあなたに何か手をさしのべるべきだと行っているわけではありません。それはおそらく、行政や宗教団体などが主に担う仕事でしょう。僕たちがやらなければならないことは、そういった行政の行動を、支持していくことであり、むやみに追い出そうというような行政に、NOを言うことだと思います。
あなたの意見も聞かせてください。
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