(by paco)上原ひろみさんの自己肯定感

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15日の土曜日、J-WAVEの「ワールドエアカレント」に、ジャズピアニストの上原ひろみが登場して、葉加瀬(はかせ)太郎のインタビューを受けていました。

上原ひろみの話をする前に葉加瀬太郎の紹介の方が先かもしれません。葉加瀬太郎はクラシックからジャズ、さらに幅広く活躍するバイオリニストで、90年代初めにブレイクした「クライズラーアンドカンパニー」というユニットで世に出ました。今も世界中のアーティストと競演するだけでなく、こうしてメディアでのトークもなかなか魅力的です。

で、今回登場の上原ひろみさんですが、1979年生まれ、26歳のジャズピアニストで、米国を初め、世界中で高い評価を得ています。僕は名前をアルバムジャケットはうろ覚えで知っていたのですが、本人の声と話を聞くのは初めて。土曜の夕方、夕食の料理をしながら、いつものようにFMを聞いていたら、その話に思わず引き込まれてしまいました。

ちなみに上原さんの公式サイトはこちら。 ここの写真を見る限り、シャープな表情の美人という感じですね。それが。

こちらにインタビューのログがほぼ100%忠実にでているので、ぜひ見てみてください。リンクの関係で、2回クリックが必要です。


こちらの写真は、ずっと自然な表情で、ある意味まるで別人です。CDショップでアルバムジャケットを見て知っていた上原さんとはまるで違う、等身大の彼女がJ-WAVEには登場していました。たぶん、こちらの表情と話し方がたぶん彼女の素顔なんだと思います。

声を聞くともっとよくわかるのですが、癒し系の優しい、ちょっと甘えのある声で、話も「だいじょうぶなのかな?」というぐらいのんびりした感じ。

でも、彼女はしっかり自分をもっている人だということが、インタビューを聞いていくとわかる。6歳でピアノを始めるものの、大学は法政大法学部。その理由が「どうせ音楽とは離れないから、違う分野の人と知り合いになるのはいいかなと思って」。そして実際に20歳の時にすっと思い立ち、渡米、試験を受けてバークレー音楽院に入学してしまいます。

自分に自信がある、というより、自分を疑うということがもともとない感じ。気負いがなく自分を等身大に見ることができて、特にすごい才能があると過信もしないし、才能がないと思わない。こういうキャラクタが育っていることに、とても驚かされます。

彼女は17歳の時に、ジャズピアノの巨匠チック・コリアを競演を果たしたことでも知られているのですが、その時のエピソードも紹介しておきましょう。「私が東京にレッスンを受けに来ていた時に、チックも東京でリハーサルをしていて、同じ建物の中にいたんです。ご挨拶に行ったら、「1曲なんか弾け」と言われたので(笑)」。それがきっかけで翌日のチック・コリアのコンサートに出演するわけですが、彼と舞台に立つことも「なんか、興奮がいっぱいでしたね。本当に嬉しくて。特等席ですよね、一番チックの手が近くで見える(笑)。」

どうでしょう、僕らの世代の日本人なら、こういう場面では緊張してドキドキ、地に足が着かないと思う方が多いのではないでしょうか。それが「一番近くで見られて興奮!」と言える感性は、たぶん、かつての日本人のものではないような気がします。

ではなぜこの違いが生まれたのか?と思うのですが、それにつながりそうなエピソードが、彼女が最初にピアノを習った先生にありそうです。その先生は、「音楽って楽しむものなんだっていう観念」を植え付けたと話しています。僕も子どものころにピアノを習っていたのですが、ちっとも楽しくなかった。絵を習っても、書道も、たいていの習い事は楽しくなかったなと思います。楽しむことより、修行(○○道という感じ)。今は、一般的にはどうなんだろう? 楽しむ指導をしているのかなあ。

ここで重要なことは、音楽をやるにしても何にしても、それを通じて、自己肯定感を持てるようにすることではないかなと思うのですね。自分はこれをやっているときは楽しい。自分らしくいられる。その自分は、そのままでOKなんだという肯定感をもつ。こういう気持ちを子どものころにしっかり感じられた人は、あとになって、自分への信頼が崩れないのではないか。かつての日本人が一番弱かったのがここで、そして今、じょじょにそれとは違った若い世代が育っているのではないか。そんな印象でした。

あなたは、自分の子どもや自分の後輩、部下に、こういう肯定感が持てるように、接していますか? 人が自信を持っていくことは、上の世代の幸せでもあるなと思うのですね。

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