(by paco)はやぶさはすごい

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(by paco)JAXAが国産ロケットで打ち上げた人工衛星、はやぶさが、小惑星イトカワに着陸して、イトカワの地表の砂を採取したようです。ほんとに採取できているかどうかは、ハヤブサを地球に戻して、タンクをあけてみるまでわからないわけですが、とりあえず、数百ミリグラム回収できたのではないか、という発表です。

このプロジェクトには、世界トップの技術がたくさん使われています。まず打ち上げたロケットは純国産のM型ロケット(旧文部省系が開発してきたもの)。人工衛星のはやぶさの推力は、イオンエンジンで、キセノンをイオン化して電気的に加速し、推力にしています。イオンエンジンの実用化は、ハヤブサが世界初です。

はやぶさの航行制御も独自の技術で、宇宙に出てからは自力で目標を探し、そこに向けて自力で軌道を修正してイトカワに到達するという、日本得意のロボット技術が使われています。飛行士が操縦したり、地球から逐一指令を出して制御しているわけではないのです(光でさえ片道17分かかるため、いちいち指令を出していられない)。

宇宙の話題というと、最近は中国の長征ロケットが有人飛行を成功させて世界にアピールしました。でも今回のはやぶさの成功は、それを上回る技術力です。イオンエンジン、自動航行技術、自動着陸、観測、資料採取などを自動化したロボット技術。

さらに、ロケット技術も、実はすごいのです。今回のイトカワは小型のM型ロケットですが、もうひとつの国産ロケットH2Aは、世界でもトップクラスの技術です。中国の長征が燃料に使っているのは、毒性のつよいジメチルヒドラジン。これを使うと、技術的には容易にロケットが作れるのです。しかしH2Aは水素と酸素が燃料なので、燃焼後は水しかでない。クリーンなエンジンです。この水素酸素エンジンは、制御が難しく、それ故、中国・ロシアはもちろん、EUのアリアン5ロケットでもまだトラブルを抱えているし、米国のスペースシャトルも事故を起こしてしまいました。それだけ難しい技術なのです。日本のH2Aは、純国産でこの技術開発に成功しているのですから、ロケット技術としても日本は中国にはまったく引けをとっていないどころか、十分、上回っているのです。

今回のハヤブサの成功は日本の科学技術のレベルの高さを、世界に知らしめることになったのですが、この成功とH2Aの成功の意味は、ふつうの日本人はほとんど知らないのですね。本当は「すごいんだぞっ」と誇っていいのです。ともあれ、関係者のみなさん、成功、おめでとうございます。

まだハヤブサの帰還には問題を抱えているようですが、これまでも多くのトラブルを乗り越えてきたので(トラブルがありつつも、乗り越えてミッションを達成するというところが、なんだか日本人らしくてよい)、ぜひがんばってほしいものです。

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