(by paco)湾岸戦争については、10数年前なので、覚えている方がほとんどだと思います。イラクが突然隣国のクウェートに侵攻して占領したことに対して、当時大統領だったパパ・ブッシュが国連などを通じて撃退を呼びかけ、多国籍軍を編成し、圧倒的な軍事力でイラク軍をクウェート領土からイラク領に押し返した戦争でした。
この戦争が起きた背景には、米国のイラクに対する挑発があったといわれています。当時、イラン=イラク戦争が終結して間がなく、イラクは対イラン戦争のために組織した100万人の陸軍力を持つ、中東一の軍事強国になっていました。この軍事力は中東の軍事バランスを崩すものだったため、米国はイラクを挑発してクウェートに侵攻させ、それを口実にイラクの軍事力を大きく削るという目的があったのです。
イラクのフセイン大統領は、クウェートはもともと自国の領土だと主張していました。クウェートが国境付近の油田でイラク領内の油田を「盗掘」していることに対して、「軍事行動を起こそうかな」と発言していたのですが、これに対して、米国は「中東の域内の紛争について米国は緩衝するつもりはない」という趣旨の発言を起こったのです。これを、フセインは「イラクがクウェートに軍事侵攻しても、米国は黙認する」というメッセージと受け取り、クウェートに侵攻したのです。